映画解説

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強力おすすめ

タイトル 殺人の追憶
韓国公開年 2003年
出演者 ソン・ガンホ キム・サンギョン パク・ヘイル キム・レハ
監督 ポン・ジュノ

【 映画紹介 】

80年代に韓国の片田舎で実際に起きた、いまだ未解決の連続殺人事件を描いたサスペンス・ミステリーの人間ドラマです。

軍事政権下の韓国が政治的に激動している時代のさなか、現場経験で勝負する肉体派の田舎刑事と、ソウルからやってきた、知的でデータを重んじる理論派の若手刑事の対立を絡めながら、犯人逮捕に執念を燃やす刑事たちの奮闘、苦悩ぶりを、迫力あるカメラワークで力強く描き出しています。重苦しいだけでなく、ユーモラスな部分も挟み込み、ぐいぐいと最後まで引き込まれながら、最後にやるせなさが漂うという、一級の娯楽作。韓国でも全国で560万人を越す2003年最高の観客動員数を記録しました。

ポン・ジュノ監督の生み出す力強い映像の躍動感、手に汗握る緊迫感が素晴らしく、よく練られた脚本と構成の見事さには思わず興奮します。

音楽には日本から岩代太郎が参加。なんでもポン・ジュノ監督はアニメの『るろうに剣心』の音楽を気に入っていたとのことで今回のコラボレーションが実現したそうです。

主演は韓国映画界の看板スター、ソン・ガンホ。田舎刑事の鈍感で怠惰な雰囲気が出るように、10キロ体重を増やして役作りをしたとのこと。若手刑事には、主にドラマで活躍していたキム・サンギョンが扮し、ソン・ガンホとがっぷりよつに組んでいます。

有力な容疑者役のパク・ヘイルも繊細で印象的な演技を見せています。

観客からも、そして評論家からも絶賛された力作です。

 

tashiro

対照的だったはずの二人の刑事が、追い詰められていくにつれ、どんどん似てきてしまうのが面白かったです。
結局この事件は3000人もの容疑者が取調べを受けたそうですが、いまだに犯人は捕まっていません。混乱する時代背景の中でのままならない捜査。そうした社会状況がこの事件を迷宮入りにしてしまった様子も描きこまれています。
この映画が大ヒットしたことで、この事件への関心も再び高まり、番組で取り上げられたり、事件の再捜査を求める市民運動も起きました。
この映画で描かれている華城連続殺人事件は、ドラマの『カプトンイ 真実を追う者たち』『シグナル』といった作品でも取り上げられています。