映画解説
強力おすすめ
タイトル | オアシス |
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韓国公開年 | 2002年 |
出演者 | ソル・ギョング ムン・ソリ アン・ネサン リュ・スンワン |
監督 | イ・チャンドン |
【 映画紹介 】
『オアシス』は、社会から疎外された2人の男女の、ある‘愛のかたち’を描いたラブストーリーです。
社会の常識と折り合うのが難しい前科者のジョンドゥ(ソル・ギョング)は、ひき逃げによる過失致死で刑期を終えて出所したばかり。家族からもあからさまに疎まれる存在です。そんなときに出会ったのが、脳性まひの女性コンジュ(ムン・ソリ)。彼女もやはり家族から厄介者扱いされ、家にひとり置いてきぼりにされている状況でした。そんな、社会からも家族からもつまはじきにあっている二人の男女が心を通わせ、二人だけの愛の世界を築いていきます。でも、そんな2人だけの愛は、偏見を持った世間からは理解されずに、ある事件が起こってしまうのでした。
社会から虐げられたロミオとジュリエットにも感じられる二人の愛の重い現実を、適度なコミカルさとファンタジー描写が和らげ、感動の人間ドラマになっています。
本作品でヴェネチア国際映画祭の監督賞を受賞したイ・チャンドン監督は、この作品を撮り終えた後、ノ・ムヒョン大統領のもとで、一時期文化観光部長官を務めていたことでも有名です。
主演は『ペパーミント・キャンディー』でもコンビを組んだソル・ギョングとムン・ソリ。2人共に名演技で、数々の演技賞を手にしましたが、特に脳性まひの障害を持つ難しい女性を見事に演じたムン・ソリの演技は絶賛され、ヴェネチア映画祭で新人俳優賞を獲得しました。
この作品のテーマは、意思の疎通と心の通い合い。実社会で、無意識のうちに2人を虐げる側に回ってしまいがちな多くの観客たちに向けたメッセージになっています。
圧巻だったのは、ヒロインを演じたムン・ソリ。彼女は、1年にわたって実際の脳性まひの方と時間を過ごしながら身体の動かし方や感情表現の方法を練習していったのだそうです。撮影中ずっと身体をゆがめる姿勢をしていたために、背骨がゆがんでしまい、物理療法を受けなければならなかったほどだそうで、その熱演のかいあって素晴しい感動作になりました。