映画解説

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強力おすすめ

タイトル JSA
韓国公開年 2000年
出演者 イ・ビョンホン ソン・ガンホ イ・ヨンエ シン・ハギュン キム・テウ 
監督 パク・チャヌク

【 映画紹介 】

『JSA』は、南北分断の象徴となっている板門店の共同警備区域を舞台に繰り広げられる南と北の兵士たちの人間ドラマの傑作です。

韓国で2000年の9月に公開され、『シュリ』の持つ歴代観客動員数の記録を塗り替えた話題作。これほどの大ヒットになるとは製作陣ですら予想もしていなかったということですが、蓋を開けてみれば、見た人に一様に「いやあ、良い映画だった」と深い感動を与える作品となりました。

タイトルのJSAとはJoint Security Area(共同警備区域)の頭文字。ある日、この共同警備区域で発砲事件が起きます。発砲したのは韓国側の兵士で犠牲者は北朝鮮の兵士。北側は南側の侵入だといい、南側は北の兵士たちに拉致された為の発砲だと主張する。証言の食い違うこの事件を調査するためにスイスとスウェーデンからなる中立国監督委員会から、韓国籍を持つ、スイス軍の女性将校が派遣され謎を解き明かしていくのですが、果たしてこの事件の裏にはいったい何があったのか、話は事件の8か月前に遡り、事件の当事者たちの人間関係に迫っていくのでした。

主演はソン・ガンホとイ・ビョンホン。ソン・ガンホはこの作品の演技でトップスターの地位を確固たるものにし、イ・ビョンホンにとっては出世作となりました。そしてドラマ『初恋』などのキム・テウ、『ガン&トークス』などのシン・ハギュンがこの作品で大きな注目を集めました。『宮廷女官チャングムの誓い』『パパ』などのイ・ヨンエのクールな美しさも光っています。

この映画の良いところは、真っ向勝負したらいかにもな社会派作品になりがちなところを、共同警備区域で起こった発砲事件の真相を探るというミステリー仕立てにして観客の興味を最後まで引きつけながら、あいまにコミカルな味付けなどを盛り込んだ緩急に富んだ構成にあります。重いテーマであるにもかかわらずしっかりエンターテイメントに仕上げており、だからこそ、見終わったあとにはどうしようもない深い哀しみに包まれます。

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『JSA』はテーマがナイーブで、しかも北朝鮮の兵士をとても人間味のある魅力的な人物として描かれているので、北朝鮮に友好的な描き方が問題視されるかと制作者たちは気を揉んだそうですが、ちょうど公開の直前に歴史的な南北首脳会談が行われ、友好ムードが高まる中で公開されるという幸運に恵まれました。
しかし、この作品を最初に見たとき、仲良くなった兵士たちが、ふとしたことで銃を向け合い、実際に相手を殺してしまうことが理解できなかったんですが、この映画の原作小説の作家の意図として、どんなに親しくなっても、それまでに刷り込まれた、相手を憎悪するというイデオロギーが何かのきっかけで蘇って悲劇的な結末を迎えてしまうということを描きたかったのだそうです。それだけに、同胞でもある相手を憎むべく教育して来ざるを得なかった分断国家の悲劇が鮮明に浮かび上がってきます。
ちなみに大規模な板門店のオープンセットは、現在一般に公開されています。