映画解説

映画解説一覧に戻る

おすすめ

タイトル ハピネス
韓国公開年 2007年
出演者 ファン・ジョンミン イム・スジョン コン・ヒョジン
監督 ホ・ジノ

【 映画紹介 】

『ハピネス』は、療養所で出会った男女の愛の喜びと残酷さを描いたラブストーリーです。 ソウルでクラブ経営に失敗し、酒と自堕落な生活で肝硬変になった男が田舎の療養所に入院します。そこには、肺の病気で長年療養所暮らしをしている女性がいました。薄幸な生い立ちながらも明るく前向きな彼女と恋に落ちた男は二人で同棲をはじめるのですが、幸せな日々もつかの間、1年後、男に健康が戻ったとき、男は以前のソウルでの暮らしを懐かしむようになるのでした。 『春の日は過ぎ行く』『四月の雪』のホ・ジノ監督作品。美しいだけではない、愛の残酷さを繊細なタッチで綴り、青龍映画賞の監督賞、韓国映画評論家協会賞の脚本賞、ソウル忠武路国際映画祭の今年の発見賞を獲得しました。主演は、ファン・ジョンミンとイム・スジョン。ファン・ジョンミンは『ユア・マイ・サンシャイン』での愛に一途な田舎の純朴青年役とは180度違う都会の男に扮して、ホ・ジノ作品にしては珍しく、野性味のある汚れたキャラクターを表現しています。イム・スジョンは童顔の透明感のある存在感で、見かけは幼子のようでも、中身は芯の通った成熟した女性というキャラクターにぴったりはまっています。他に、コン・ヒョジンが男の昔の恋人役で出演しており、大韓民国映画大賞で女優助演賞を受賞しました。

tashiro

愛という熱い感情もひと時のもの。状況が変われば気持ちも容易に変わっていくという残酷な現実を突きつけられる作品でした。せっかくの幸せを自ら手放してしまう、なんと愚かな男だと思いながらも、その一方で、愛は純粋だけどそれだけでは生きられないという、人間にはそんな現実的で利己的な面があるということを、多くの人が否定しきれないのではないでしょうか。優しい中に苦い後味がしみるような作品でした。