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『メイビー、ハッピーエンド』来日公演版

 

5/19日から池袋のサンシャイン劇場で公演が始まっている

『メイビー、ハッピーエンド』、

これ、すごくいいです!

 

今年韓国で上演された韓国オリジナルのミュージカルで、

その内容の良さが口コミで広がり、

連日ソールドアウトの記録を達成したほど

観客から大きく愛された作品です。

 

人間の役に立っていたけれど、古くなって

性能のいい新型ロボットに取って代わられ、

今は旧型ロボット専用のアパートで

機能が朽ちるまで生きている状態。

明るく始まるけれど、すでにこの設定が何とももの悲しいです。

 

ヘルパーロボットのオリバーは、

レコードを愛し、お気に入りのジャズ雑誌を読み、

植木鉢に話しかけて一日を過ごす。

尋ねてくるのは郵便配達人だけ。

そんな風に毎日を規則正しく過ごしながら、

いつか元の雇い主だったジェームスが自分を迎えに来てくれると信じて

健気に待っているロボットです。

 

そんな彼のもとにある日、充電器を借りに訪ねてくるのが、

向かいに住むクレアという、オリバーよりも一段階人間に近づいた

活発なヘルパーロボット。

 

そんな二人が交流を始めて

一緒に旅に出て、愛する感情を知っていくけれど~という物語。

近未来のヘルパーロボットたちのお話ですが、

レコード、雑誌、糸電話に蛍といったアナログなアイテムが

登場し、懐かしさと温かさが感じられ、

もの悲しくて、でも愛おしさが募ります。

楽曲がものすごく良くて、

柔らかく優しさが漂う旋律が、

より切なさを掻き立てるのです。

 

2人のロボットがいきなり出会って

戸惑うところから始まり、

なんか気になるようになって、

一緒にいるのも悪くないな、なんだか心地いいなと思えるようになり、

プログラミングされていなかったはずの愛という感情を知っていく。

その過程がとっても素敵なメロディーに乗せて綴られていくのです。

「いつかは終わってしまうこと」

「人は変わってしまうこと」

その儚さが根底に流れているので

笑ってホロリと来て、

ロボットの運命に自分たちの老いを重ねて見ることもでき、

見る人の琴線に触れるんですよね。

 

※ ↑韓国上演時の写真、カーテンコールは撮影可でした

韓国で見た時はミュージカル俳優たちが演じていましたが、

ロボットの役なので、

関節の動かし方とかしゃべり方までロボットにしか見えない演技に

目を見張ってすごいなあと思いました。

3人登場するけれど、ほぼ2人芝居なので

歌以上に演技力が問われるなと思い、

これをアイドルが演じ切れるのだろうか? と思いもしましたが、

今回見てみたらそれぞれの魅力があって良かったです。

 

基本的に、オリバーはほわんとした素朴さを持ち、

童話の中に生きてる感じなので、

子供っぽい感情表現やあどけない表情というものが求められる、

愛おしい存在です。

 

SE7EN演じるオリバーは、

比較的落ち着きがあってこだわりのあるまじめタイプという感じで、

そんな彼がクレアと出会ってペースを乱され、

慌てたり、困ったり、びっくりしたり、気になったりするときの表情や動きが

コミカルで可愛くてあどけなくもあり、

そんな細やかな演技に惹きつけられました。

こまった時のちょこまか動く足さばきというか、

足の動き方がまさにロボットみたいでしたし。

そしてクライマックスの切ない表情で歌いかける場面は

感情がとっても伝わって来て

涙腺が崩壊してしまいました。

SE7ENやるなあ~と思いました。

 

 

ケビンは天使のような純粋さが際立っていて、

なんだか見ていて癒されます(笑)。

透明感があってまっすぐな演技なんですよね。

あどけない青年ロボットという感じ。

その純粋さがまたもの悲しさを掻き立てます。

 

 

※ ↑カーテンコールは日本も撮影可

 

ソンジェは天真爛漫。

大きな子供みたいなかわいさで、

あまり落ち着きはなく、きゃぴっとしている感じ(笑)。

戸惑って挙動不審になってしまうところが可愛くもおかしくて、

時々素の顔も出てしまっていたような気もしますが(笑)、

そこがまたファンにはたまらないんでしょうね。

製作会見で「僕が一番かわいいオリバーになる!」

と宣言していましたが、

確かに子犬のようなかわいさは一番でした。

 

 

誰のオリバーで見ても感動する作品に仕上がっていますので、

あとは好みですよね。

私は、もう一回観られるとしたら誰で見るかなといえば

SE7ENオリバーですかね。

 

この3人を受け止める女優さん2人がまたとっても上手。

特にキム・ボギョンさんの歌はもう一点のぶれもなく

さすがの安定感。

声がアニメの声優さんのようにかわいらしくて

耳に心地よく、メロディーが染み入ります。

歌はやはり、女優さんたちのおかげで

ぐっと引き上げられていましたね。

 

『インタビュー』も『メイビー、ハッピーエンド』も、

主役はほぼ出ずっぱりでごまかしがきかないだけに、

挑戦する俳優たちにとってはプレッシャーがハンパないと思いますが、

その難しさがまた彼らを育てるんだなあと感じました。

 

アイドルが出ていると本格派ミュージカルファンは

見に行かない傾向がありますが、

この作品は内容も曲もとっても素敵ですし、

とにかく泣かされます。

何度見ても同じところで涙が出て

鼻がぐずぐずになってしまいました。

強力おススメ作品です。

 

 

ちなみに、この舞台を収録したものが

後日、衛星劇場で放送になりますので

そちらもお楽しみに~。

 

関連記事 『メイビー、ハッピーエンド』製作発表会見

ミュージカル女優キム・ボギョンさんインタビュー

 

 

ミュージカル 『メイビー、ハッピーエンド』
◇公演日時 : 2017年5月19日(金)~5月28日(日)計17公演
※韓国語公演・日本語字幕あり
◇会  場  : サンシャイン劇場 (豊島区東池袋 3-1-4)
◇出  演  : チェ・ドンウク(SE7EN), ソンジェ(超新星), KEVIN(ウ・ソンヒョン) キム・ボギョン、ソン・サンウン、ラジュン
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