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『イニョプの道』は、下女（奴婢）になってしまったお嬢さまがたどる波瀾万丈の人生と愛を描いたロマンス時代劇です。

いまだ開国の混乱が残る朝鮮時代初期。国の重臣の一人娘で、非常に自尊心の高いイニョプ（チョン・ユミ）。愛する人と婚礼をあげていた幸せ絶頂のその時、父親が無実の罪を着せられ、イニョプは奴婢に身分を落とされてしまいます。しかも、かつての友達の家に引き取られ、お嬢さま時代は、汚らわしいとさえ思っていた因縁のある奴婢たちの中に入れられてしまい、過酷な奴婢人生が始まるのでした。

このドラマの面白いところは、いつもドラマの脇で当たり前のように出てくる両班家の下働きたちにスポットを当て、彼らがどのように暮らし、どのように無体な扱いを受け、何を思っているのかが描かれているところです。そして、その中に入れられ、いじめを受けながらもなお、堂々と人権を主張し、障害や試練を克服していこうとするイニョプの強さが見るものにカタルシスを与えます。

大きな見どころは、イニョプを取り巻く２つの愛です。結婚寸前まで行きながら夫婦になることが叶わなかった両班の若様（キム・ドンウク）は、イニョプが奴婢になっても、身を滅ぼさんばかりの一途さで彼女を追い求めるという、愛しあいながらもすれ違ってしまう男の心情が切々と見る者に響きます。一方、下働きでありながら謎めいた美男子で両班からも一目置かれているムミョン（オ・ジホ）も、かつて自分を蔑んだイニョプを冷たく突き放したかと思えば、事あるごとにイニョプを助けてしまいます。この、ムミョンとイニョプの、無意識に惹かれ合いながらも、お互いに自分の想いから目をそらし、近づきそうでなかなか近づかない二人の距離感が、じれったくもあり、見ていてドキドキするところでもあります。

反政府組織の暗躍や、王に絡んだ出生の秘密というミステリー要素も入り込み、非常に見応えのあるドラマになっています。

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