取材レポ・コラム

『王は愛する』撮影現場リポート④ ワン・リン役のホン・ジョンヒョン インタビュー 

 

「アンニョンハセヨ~」とさわやかに登場したホン・ジョンヒョン。「遠くまでいらっしゃいましたね」と日本の取材陣をねぎらう彼の言葉からインタビューが始まりました。

――「王は愛する」に出演した理由についてお聞かせください

一番の大きな理由は台本ですね。リンはいつもウォンの側で彼を見守り、彼のよき理解者、誰かのために自分をささげる役。ありそうでなかった役です。そこに男同士のブロマンスもあり、とても新鮮に感じました。また、シワンさんやユナさんなど実力人気共に高く、一度は共演してみたかった役者さんです。そして『ママ~最後の贈りもの~』でも一緒だった監督で、ぜひ出演したいと思いました。

 

――ユナさんが、リン役はまさにジョンヒョンさんそのものだと言ってましたよ。

実は昨日ユナさんから食事の最中にそう言われて…うれしかったです。なぜなら、リンの配役がなかなか決まらず、シワンさんとユナさんは誰がキャスティングされるのかとっても気になっていたと聞きました。3人の関係性がすごく大事なので。だから僕が決まったと聞いて二人はどう思ったんだろう~と不安だったので。それを聞いてなんだかほっとしたんです。すごくありがたくて、僕の方が年上だけど思わず手を差し出して「おお、ありがとう~」と握手してしまいました(笑)。

 

――リンは架空の人物ですが、台本を読んでみた感想は?監督や脚本家とはどんな話をしましたか?

脚本家先生は僕のことが気になったみたいで、僕がどんな性格でどう演技するかなど色々と調べたり聞いてくれました。質問に対する僕の反応や癖なども考慮してくれ、僕が演じやすいように脚本を修正してくれました。監督は以前ドラマの現場で一緒だったこともあり、実際の僕の姿をよくご存じなので、そうした性格のどの部分をリンに重ねていけばいいかなどをわかりやすく説明してくれて確信が持てるようになりました。とてもありがたかったですね。

 

――時代劇の魅力とは?逆に難しいことは?

時代劇は、ある意味自分の意見などが取り入れやすいのかもしれません。事実に基づいた作品、脚色した作品であろうとも現代劇ではないので、演技の正確な答えがあってなさそうな感じがします。特に難しいのはその時代独特の言葉づかいですね。乗馬やら言葉づかいをその時代にあった風に演じなければならず、とても演技をする上で気を遣いますね。

 

――前作の『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』では悪役でしたが、今回は真逆のキャラクターですね。

以前演じたキャラは悪役そのもので、シニカルで強い印象ですが、今回はウォンを一歩後ろから見守り手伝うキャラなので、確かに全く真逆なタイプですね。前回演じた悪役がまだ自分の中に残っていて、たまに強い感じがでてしまい撮影当初は戸惑いもありました。でも、架空の人物だから演技が難しいといったことは感じませんでした。

――イム・シワンさんの護衛武士の役割ですね。アクションシーンが多そうですがどんな準備をされましたか?

乗馬やアクションは事前に習いました。撮影の合間を縫って練習もしています。前にも何作か時代劇に出ていまして、実は以前から時代劇のために乗馬やアクションの練習は欠かさず行っていたのですが、時代劇の撮影中そのようなシーンがほとんどなく、視聴者のみなさんにお見せする機会がなくて残念に思っていたんです。でも今回やっとそれが叶うと思うとなんだか嬉しくて、いつも以上に張り切って練習しています。上手くできるかはわまりませんが(笑)。

 

――イム・シワンさんとのブロマンスがこの作品でとても重要な部分だと伺いました。2人は実際にとても親しくなったと聞きましたが演技してみた感触は?

シワンさんとの仲ですか…。僕が努力したと言うよりも逆にありがたかったですね。

シワンさんは、自分は人見知りだと言いますが、僕からしたらそんなこと一切ありませんね。ぼくは人見知りで、親しくなるまで時間がかかるタイプです。遊びに行くのもそうですし、家に招待してくれたのもすべてシワンさんからの提案でした。今までいろんな方と共演しましたが、ここまで短期間で親しくなったのは初めての事です。これってすごく大事なことだと思うんです。撮影開始前に共演者が既に打ち解けていて、リラックスした雰囲気で撮影に挑むことは。今回は本当にシワンさんのおかげで撮影にスムーズに入っていくことができました。家に招待しておいしいものをごちそうしてくれました(笑)

 

――親友と一人の女性を同時に愛し葛藤するリンのような状況が実際に起きたら、自分だったらどのような選択をしますか。

友情か愛情かを選択する経験は…、ありますね。でもその時、僕には選択する権利すらありませんでしたよ~(笑)。どっちを選択するかはやはりどんな状況によるかでしょうね。二人の仲から必ず一人を選ばなければならないとなると…。やはり、愛情を選ぶでしょうね。なぜなら、男同士なら何があっても最終的に理解してくれると思っています。もし仲違いしたとしても、です。実は僕も昔、そういうことがあって相手の男性を許した覚えがあります(笑)。

 

――事前制作に関してはいかがですか?

普段撮影しているドラマと比べると撮影時間や期間は長いかもしれません。事前制作の一番の利点は撮影前に共演者同士で話し合う時間がたくさんあることだと思います。他のドラマではこのように時間がとれることはまずありませんからね。僕もそのおかげで撮影にスムーズに入っていけました。

ただ、台本をもらっても先を読んではいけなくて、今後の展開が全くわからないので今の自分の置かれた状況や感情を正確に理解し、それを演じることが大変ですね。

 

――『麗<レイ>―花萌ゆる8人の皇子たち』も事前制作でしたが、あの時は最後までストーリーわかって演じていたんですか?その時も今回のようにやりながら台本ができていくという感じ?

今回の形に似ていたと思います。でも『麗~』では自分のキャラクターが最後どうなるかまでは分かって演じていましたので、自分が死ぬ前にその過程をどう描こうかについてたくさん悩みましたが、このドラマでは、僕ら3人の関係は今は良いのですがあとでほころび始めますし、仲たがいもし葛藤も生まれて~というように発展していくので、あとの台本を読んでしまったらその感情を予想して演技してしまうんじゃないかと監督が憂慮なさったようで、監督も脚本家先生も、僕には小説も見てはダメだとおっしゃいました。実は小説とはキャラクターがすこし違いますし。

自分の役がどうなるのかわからない状況で、自分の置かれた状況に一瞬一瞬しっかり集中するということを積み重ねていけば、新たな状況が迫って来ても上手く受け入れて表現できるどろうと今は思っています。監督がとにかく今の台本を見ろとおっしゃったので、とっても気になりながら待っているところです。

――今回は少し、新しいタイプの挑戦なんですね?

そうですね。

 

――ユナさんの第一印象は?一緒に演じてみてどうですか?

以前、モデルをしていた頃、撮影現場で見かけたことはあります。その時は挨拶を交わすだけでしたので、話したのは今回が初めてですね。撮影当初はユナさんが女性ということもあり慎重に接していました。性格が良くサバサバしているからか、失礼なことですが、今ではシワンさんと一緒にからかったりもします。彼女って可愛らしく女性らしいので、何だか話しづらそう見えますが、実はとても接しやすいんですよ。サバサバして男勝りな役柄ということもあり、たぶん皆さんはこのドラマで新たなユナさんを発見するでしょう。撮影中に感じたことですがユナさんはサン役にぴったりだなとつくづく感心しました。

 

――今後俳優としてやってみたいキャラクターやジャンルは?

明るくコミカルな役を演じてみたいですね。

 

――どんな役者になりたいですか。また、本作品でどんなホン・ジョンヒョンを視聴者にみせたいですか。

その質問2つに共通する答えになると思います。前回演じた悪役のイメージが強いため視聴者の方々はリンを演じる自分に最初、違和感を覚えるのではないかと思います。悪役のイメージばかりが固定するのではなく、前回とは違ったホン・ジョンヒョンをこのドラマで見せられるのではと思っています。そういう機会が来るのを僕もずっと願っていましたし…。このドラマを通して前回の悪役のイメージを払拭したいです。あー彼ってこんな役もできるんだ!とみなさんに思ってもらいたいですね。

 

 

――撮影現場のムードメーカーは?

やはりシワンさんでしょう。僕らが年下ということもありますが、誰に対しても気兼ねなく接してくれますね。彼がすごいのは決して無理して努力している訳ではなく、本心からの行動だからです。僕は彼ほど気遣いができるとは思っていませんが、彼から学ぶことは多くて、自分もそうなりたいと心がけたいです。彼は撮影シーンに合わせたムード作りがとても上手です。面白いシーンでは冗談を言ったりしておちゃらけてみせて、シリアスなシーンは事前に話し合うなど。適切に場の雰囲気づくりをしてくれるんです。

 

―日本で思い出に残っている場所は?好きな食べ物。エピソードがあれば。

日本の温泉に初めて行きました。くまもんがいるところ…、熊本!九州に行きテレビ番組でくまもんと共演したのですが、可愛さがもう半端ないですね。(ここで急にテンションが高くなり、くまモンについてしばし熱弁をふるうジョンヒョンが可愛い…)

あの魅力にすっかりハマってしまい、いまだに忘れられません。番組内でくまもんの可愛いらしさについて話をしたら案の定、ファンの方がグッズを送ってくれました。

今思うと生まれてこのかた温泉に1~2回しか行った事がないので、日本の温泉は良かったですね~。あと、日本の良さは食べ物がどこに行っても美味しいことですね。昔、日本のコンビニでお弁当を買ってたべたのですが、それすらも美味しかったことに驚きました。美味しいものが多いので、日本に行くと、食に一番お金を使います。もちろんショッピングもしますが、やはりほとんどは食べ物で、一日に5食は食べます。美味しいものを小量づつ…。うーん…一番好きな食べ物ですか…。なんでしょうね。お好み焼き、焼肉(和牛)、ラーメン、寿司…、うん、寿司ですね、今食べたいのは。友達から勧められたのですが、日本のローストビーフ丼がとても美味しいらしく、ぜひ食べてみたいですね。

ここで天気が晴れてきたので撮影再開の知らせが入り、スタッフに呼ばれるジョンヒョンさん。

「撮影に戻りますね、ご苦労様でした、済州島までいらっしゃって」

と、最後もねぎらいの言葉を忘れずに現場に戻っていきました。

ホン・ジョンヒョンさんは、すっとしたきれいな顔立ちだけに、一見クールにも見えますが、実際にお会いすると、優しくて、実年齢よりはもっと若く素朴な感じを受けました。「他の二人は寒がりみたいですが、僕はこのくらいの寒さだったら平気です」と言いながら、途中から熱くなってきたのか、ダウンコートを脱いでインタビューに答えていました。話題がくまもんと食べものの話になると、とたんに‘男の子’のようなあどけない感じになって、クールな印象が一変。監督が言っていたように、本来はとても純粋な少年のような人なのだということが良くわかりました。『王は愛する』では、そんなホン・ジョンヒョンのこれまでの作品では見られなかった純粋な男性像が見られるそうなので、楽しみです。

 

続きは

『王は愛する』撮影現場取材レポート⑤:護衛武士に扮する注目の新人俳優たちインタビュー

『王は愛する』監督インタビュー脚本家インタビューを読む

 

2017.2.21執筆

※衛星劇場で8月1話先行プレミア放送。9月より本格放送スタート!
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