映画解説

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タイトル ナチュラル・シティ
韓国公開年 2003年
出演者 ユ・ジテ イ・ジェウン ソ・リン ユン・チャン
監督 ミン・ビョンチョン

【 映画紹介 】

『ナチュラル・シティ』は、未来都市を舞台に繰り広げられる、人間とアンドロイドたちのSFアクション・ラブストーリーです。

2080年の未来。ソウルは「メッカ・ライン・シティ」と呼ばれるエキゾチックな大都市になっています。そこは人間がアンドロイドを奴隷のように使う世界。人間の管理下から離脱したり反乱分子となったアンドロイドを除去する任務を負った特別捜査隊員の男‘R’(ユ・ジテ)は、踊り子のアンドロイド、リア(ソ・リン)を愛してしまうのでした。

かつての親友で捜査隊の隊長(ユン・チャン)から心配されながらも、Rは、彼女の廃棄処分の期日が来る前になんとか彼女を救いたいと、任務にも、友の信頼にも背いて不法行為に手を染めるようになるのでした。そしてとうとうあと3日で彼女が処分されてしまうというとき、アンドロイドを不法に製造する博士から、リアを救う方法を教えられるのでした。

任務よりも愛するもののために生きようとする1人の男と、ストイックに任務に命をかける男、そして愛を信じないスラムに暮らす女(イ・ジェウン)。ハードなアクションに彩られてはいますが、これは人間とアンドロイドの悲劇的な愛の物語。『ユリョン』で原子力潜水艦内の内紛を描き、そのスタイリッシュな映像センスが評価されたミン・ビョンチョン監督が、今度はSFというジャンルで、純愛を描いています。

主演のユ・ジテが、アクション訓練で絞り込んだ体に短く刈り込んだ髪型で、ハードな中に恋する男の苦しみをにじませる男らしい魅力を見せています。
ドラマ『明成皇后』や『ヨンゲソムン』などのイ・ジェウンが、スラムに生きる娼婦役で生命力のある存在感を出しています。恋人のアンドロイドには200人の候補者からオーディションで選ばれたソ・リンが、アニメの世界から抜け出てきたような見事なアンドロイド美女として登場します。大鐘賞で映像技術賞を受賞した作品です。

tashiro

いかがでしたか? ビジュアル的に『ブレードランナー』が思い浮かんだ人が多かったか知れません。ミン・ビョンチョン監督自身も『ブレードランナー』に影響を受けているのは事実としていますが、韓国映画としての独自性を出すために、期限付きの悲しい愛の物語にしてオリエンタルな情緒を映画に込めたということです。