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アン・ジェウク

中国から始まった韓流(ハンリュウ)の立役者といえるのがこの人。主演作の『星に願いを』が放送されてからというもの、中国全土の女性たちを魅了した。

男気のあるキャラクターを得意とし、女性に対してはちょっと強引に熱く愛を迫る役がはまるロマンチック王子。韓流のきっかけとなった97年のテレビドラマ『星に願いを』で、心に満たされないものを抱えながら一心に恋人を愛する歌手志望の青年を演じ一躍スターダムに昇った。

何を隠そう私が韓国にはまったきっかけもこのドラマで、その前のドラマを見ていておなじみだったチャ・インピョ目当てで見始めたのに、途中からはすっかり「アン・ジェウクっていい!」と心変わりしてしまった。だからアン・ジェウクは私の中では基本なのだ。

何がいいって、愛に熱い一方で、寂しげでもあり、かと思うと笑顔がチャーミングで、そのギャップに引き込まれる。

韓国では日本の少女漫画「キャンディキャンディ」が日本以上に人気があり、その登場人物になぞらえて憂いを帯びたハンサムのことをテリウスと呼んでいるが、アン・ジェウクのあだ名はまさにそのテリウスだ。つまり女性たちの好きなタイプなのである。

その人気を追い風に97年から3本の映画に出演し、かっこいいだけでなく、むさ苦しい男性像からちょっとかわいい青年までいろいろな表情を見せている。

中でも最も話題を集めたのが、女装して臨んだロマンチックラブコメディーの『チム』。憧れの友達のお姉さんに近づくため、思い余って女友達になろうと女装をするのだが、その徹底的な女装ぶりは女と見まごうほど。この映画、設定はかなり突拍子もないが、内容は真剣そのもので、しまいには切ない男の恋心にじーんときてしまう上質なロマンチックラブコメディーだ。

ここでのアン・ジェウクはかわいかったり、情けなかったり、切なかったりと、普通の青年の等身大の魅力が満載で、特に好きな年上のお姉さんが他の男性を好きになってしまったときのアン・ジェウクの演技には泣けてきた。

『キスしましょうか』ではチェ・ジウと共演。ちょっとワイルドぶったカメラマンと恋に初心な女性記者のかわいいラブストーリーだ。ここではひげを生やして登場している。

このあとはしばらく映画はお休みでドラマに専念。『ひまわり』という医者の世界を描いたドラマでは、切れ者の外科医で、昔の恋人に思いを残しながらも純粋な研修医のキム・ヒソンに惹かれていく役どころ。決めきめの医者の役で、あまりのストイックぶりに、「疲れないかしら?」と思ったものの、かっこいいーと叫ばずにはいられないクールさだ。

そうかと思えばちょっと遊び人的な役どころも似合ってしまう。はったりが利くというか、口が上手いというか、『母よ姉よ』ではチンピラ風の男、『天女と詐欺師』では天才的な詐欺師に扮し、演技達者なところを見せている。

97年以降歌手としても活躍しており、ハスキーボイスの歌声にはパンチがある。歌が歌える強みで中国でも何度かコンサートを開いており、ファン層を広げるのに役立っている韓流スターだ。

そんな中国での活動に大忙しで韓国ドラマにごぶさたの時期もあったが、2003年から再び韓国のドラマに出るようになり、特に『天生縁分』では、6歳年上の女性と結婚することになる男女のラブコメディーで、ファン・シネと弾けたようなラブシーンを演じ、やっぱりチャーミングなキャラクターが上手いとアン・ジェウクの再評価につながっている。

 

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より
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