スター列伝・スターコラム
イ・ギョンヨン
眉間にくっきり深いしわ。苦み走ったいい男。
このおじさん、小太りにもかかわらずメロドラマの主役なんかやってしまう。
ドラマ『花火』(2000年)ではチャ・インピョとイ・ヨンエを争って、勝ってたもんね。若い頃は身体も顔もシャープで、甘さ漂うハンサムガイだった。それが年齢を経て少々お肉がついた感じだが、それでも男のフェロモンを振りまいている。
チェ・ジンシルやカン・スヨン、そうそうたる女優らを相手に都会派ロマンチックコメディーの主役も似合うが、映画『テロリスト』(95年)のような渋さが全面に出る役から、ドラマ『ロマンス』(98年)のようにダサダサの熱血中年教師、また映画『ホリデー・イン・ソウル』(97年)や『キスしましょうか』(98年)のようにちょっとエロい、小ずるい小市民、『ランナウェイ』(95年)では敏腕刑事でありそうだが実は…とまあ実に幅広い役どころをこなしている。
そう日本でいうと内藤剛志的な役者か。声がまた色っぽいのだ。
時代もの映画『帰天図』(96年)では監督も務めている。
映画にドラマにといろんな場面で様々な顔を見せてくれる気になる俳優なのだ。
※2001年4月発行「韓国エンターテイメント三昧vol.2」(芳賀書店)より
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略 歴
89年に『雨の降る日の水彩画』に出演し、新人賞を獲得して以降、映画俳優として頭角を現し始めました。92年には悲恋のソプラノ歌手の一代記を描いた映画『死の賛美』で男優助演賞を総なめにし、93年にはベトナム戦争を題材にした映画『ホワイト・バッジ』で大鐘賞の男優助演賞や百想芸術大賞の男子演技賞を受賞しました。90年代を代表する俳優で、スター女優たちとロマンチックラブコメディーなどにも多く共演し、主演ばかりでなく、数多くの作品でアクの強い助演としても存在感を示しています。
武侠映画の大ファンで、96年にはSF時代劇『帰天図』で監督・脚本・主演も務め、ヒットさせました。2001年には映画制作会社を設立し、映画制作者としての顔も持つようになりましたが、未成年の女性に淫行を働いたとして起訴され、懲役刑を受けて大きな騒動になりました。その後160時間の社会奉仕を行い、数年間演技活動を中断した後、2005年、親しい後輩であるキム・ミンジョンの計らいで、ミンジョン主演の映画『愛の傷』で俳優復帰しています。それ以降は映画で活動し、最近では『折れた矢』『後宮、帝王の妾』『春、雪』など数多くの作品に出演しており、たとえ短い出番でもびしっと画面を支配する強烈な存在感を残しています。しばらくはテレビから遠ざかっていましたが、今年は昨年好評を博したケーブルテレビのドラマ『バンパイア検事』のシーズン2に出演が決まり、久々のドラマ復帰となります。(2012年7月)