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キム・テヨン

1999年、「猥褻か、芸術か」の論議を呼び、韓国映画界最大のスキャンダルとなった映画『LIES/嘘』で衝撃的デビューを果たしたモデル出身の女優。この映画は18歳の女子高生と38歳の彫刻家とのサドマゾチックなアブノーマルな愛が描かれ、韓国では2度の上映不可判定を受け、3度目でようやく公開にこぎつけたという曰く付きの作品。この中でキム・テヨンは映画の半分以上をオールヌードで演技しているのだ。それも美しいラブシーンが描かれるわけではない。美しくもない中年男性から角材で叩かれたりむちで打たれたりするのである。保守的志向の強い韓国において、まだ若い彼女がこれほど大胆に体当たり演技をしているという事実に脱帽した。シナリオを最初に渡されたときにはすごく驚いて悩んだというが、変化を試みたいと出演を決意したという。映画の前には3年付き合っていた恋人がいたそうだが、理解が得られず、恋人と別れてまで臨んだ撮影だった。覚悟はしたものの、実際撮影中には泣いたり鬱状態になったりしたそうだ。しかし、この映画はベネチア映画祭の本選に出品され、キム・テヨンのスクリーンの中での堂々とした演技は大注目を集めることとなった。

次回作は映画『彼女に潜む』。破壊的な愛が描かれるということだが、キム・テヨンは「傷つけられ、その傷によってめちゃくちゃな人生を歩いていくような人物に魅力を感じる」のだそうだ。確かにこの人には普通や、平凡な愛はふさわしくない。

 

※2001年4月発行「韓国エンターテイメント三昧vol.2」(芳賀書店)より
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