サイトアイコン 田代親世の韓国エンタメナビゲート

チョン・グァンリョル

『朱蒙』『製パン王キム・タック』など、時代劇から現代劇まで重厚な存在感とカリスマ光る演技を見せる名優、チョン・グァンリョル。しかし、苦労も多かった。テレビ局のオーディションに合格してデビューしたものの、15年近くも無名時代が続き、様々な事業をしてみてもうまく行かず、タバコを買うお金にさえ困る経験をしたそうだ。5ヶ月ほど山にこもって修行生活を送り、毎日「私は出来る」と自分に言い聞かせたこともあったほどだとか。

大注目されるようになったのは、99年の大ヒットドラマ『青春の罠』で、ヒロインに一途に愛をぶつけていく、紳士的ながらもクセのある御曹子を演じてから。この役で人気上昇し、続いて主演に抜擢された、実在の朝鮮時代の医師を演じた『ホジュン』が視聴率60%を越える人気となり、デビューから20年にして大ブレイクを遂げたのである。

今年1月に、日本でその『ホジュン』の完全版DVD発売を記念したファンイベントがあり、チョン・グァンリョルも来日したのだが、『ホジュン』に挑むときには、「このドラマに臨んで死んでもかまわない。私に力を与えてください」と神に祈ったそう。まさに命がけだったのだ。一緒に来日した監督も「このドラマの撮影時、彼には人としてあり得ない苦労をさせた」として謝っていたけれど、その渾身の努力が実ったわけだ。その後の活躍は素晴らしく、出るドラマごとにヒットに導き、視聴率保障俳優などとも評されている。脚本家演出家などの専門家が選ぶ演技派俳優10人の中にも「役を完全に理解し、演技に味がある」として選ばれたこともある。

昨年『武士ペク・ドンス』で、朝鮮時代の片腕の剣豪を演じ、テレビ局主催の演技大賞で優秀演技賞を受賞した時のスピーチが話題になった。「私は幸せ者です。一人の女性を愛しているから。その女性の名前は演技です。その人と長い歳月を共にしているが、まだ名前を聞くとドキドキします。その女性は私に挑戦と情熱を与え、孤独と苦痛を与えたが、でも彼女は私の心臓が止まるまでそばにいます…」

こんなことが言える‘粋なセンス’も素敵な人である。

 

※2012年4月号「私の時間」(ヒロ・コミュニケーションズ)より
記事の転載はご遠慮ください

モバイルバージョンを終了