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ミン・ウヒョク インタビュー

※記事・写真の転載はご遠慮ください

夢友の3周年記念コンサートとして行われた
ミン・ウヒョクのソロコンサート。
その前日に都内のカフェでインタビューした内容をお届けします。

私が『ベンハー』が大好きなので、おのずとインタビュー内容は
『ベンハー』についてのものになっています。
(取材日2017年12月1日)

Q:『ベンハー』にキャスティングされた経緯を教えてください。

『レミゼラブル』のアンジョルラス役をやってるとき、
ワン・ヨンボム演出家が僕のアンジョルラスの姿を見て
メッセラのキャラを作ってくださって、
かなり前にキャスティングオファーを受けました。


Q:じゃあオーディション無しで?

いえ、オーディションはありましたが、公開のものではなくて、
一人で行って歌2曲を歌ったら、「一緒にやりたい」と言われました。
すごく光栄でした。

実はその日のオーディション終えたとき、
『フランケンシュタイン』も一緒にやりたいと言われたのですが、
その時は既に『ウィキッド』の契約をしていたので出られなかったんです。

 

Q:創作『ベンハー』やってどうでしたか?

すごく難しかったです。
なぜならしっかり演じないとただの悪い奴になってしまうから。

『ベンハー』という作品の特性上、メッセラの出番は短いので、
メッセラが何でそこまで悪くならなきゃいけないのかという流れを
その短い中で表現しなくてはいけなくて、それが難しかったです。

出るシーンのたびにすごく細かく表現するように努めました。
もともと大劇場ではそこまで繊細には演じないのですが、
身ぶり手ぶり、目線まで繊細にディティールに表現するように努力しました。

 

実際私が見た時、メッセラがベンハーを逮捕しなくてはならないとき、
強面でベンハーに対応した後で、
1人になってふっとひとすじの涙を流すのだが、
その涙にドキッとして、
ああ、この人は本当は親友相手にこんなことしたくないんだな
というのが伝わってきました。

 

Q:ほかのメッセラ役の方とは相談しながら作ったりするのですか?

全てのメッセラが違います。僕は体が大きいし背も高いので、
ただ登場するだけでも悪い奴という雰囲気があります。
なので、’悪いことをして見えても実際はそうは望んでいない’
というキャラに見えるように、
ベンハーは大切な友達だけど自分はローマ人なので仕方がない、
ローマ人としてやるべきことをやるので仕方ない
という気持ちで演じてました。
ほかの2人は元々優しい姿なので、
むしろ僕より悪い奴としてメッセラを表現してましたね。

Q:「俺はメッセラ」という曲はかっこよかったですね~。

あのシーンを練習するとき、ベンハーたちから
「メッセラがそんなにカッコよくちゃダメなのに~」って言われました(笑)。
でもメッセラのこの曲すごく大変な曲なんですよ。
戦いながら歌うので息が足りなくなってしまうんです。
初公演のリハーサルの前までは歌いきれたことが無くてずっと失敗してました。
初めての公演の時、初めて成功したんです。

 

Q:じゃあ初日はドキドキでしたでしょ?

その歌を歌う前まで、
「これを歌いきらなきゃいけないのにどうしよう」
という考えしかなかったです。
やり終えて「やった、できた!」という気持ちでした。

 

Q:それは演出家も心配だったでしょうね。

だから、ワン・ヨンボム演出家は
もっと簡単なメロディーを作ってくれましたけど、
僕が「ダメです、乗り越えます!」と宣言したんです。
もう全ての俳優すべてのスタッフに心配をかけました(苦笑)。

初日で ‘歌い切る’ という宿題は解けたので、
そのあとからはメッセラを繊細に演じて
キャラクターを伝えようということに集中しました。

 

Q:歌いきるために何かしたことはありますか?

呼吸が足りなくて歌えなかったので、
毎朝登山して歌いながら頂上まで登るということを繰り返しました。
天気が悪い時はジムでランニングマシーンに乗りながら歌ったり。
1カ月くらいやりましたかね。

Q:『ベンハー』をやる中で面白かったエピソードなどありますか?

戦車競走のあと、メッセラが負けて馬に目をつぶされてしまって
タンカに乗って舞台に出て来るシーンがあるのですが、
タンカの上、1メートルくらいのところから落ちてしまい、
腰に差してた剣が曲がってしまって、抜き取れなくなってしまったんです。
力づくで引っ張ったら剣ごとクルクル回ってどこかに飛んで行ってしまった。
剣で死ななきゃいけないのに剣が無くなって、どうやって死ねばいいのか?
と思ってベンハーを見たらベンハーの剣が目に入り、
その剣を抜いて自分に突き刺しました。


Q:さすが、とっさの機転が利きましたね!

でも問題はその次なんです。
そのままベンハーはエスターに会うシーンになるのですが、
そこではエスターがベンハーの剣を手に取って
「死にます!」と自分の首に当ててベンハーを脅すシーンになるのですが、
このときベンハーは既に剣を持っていないので、
エスターは仕方なく、両手で自分の首を絞める仕草で乗り切ってました。


Q:すごい、アドリブの連鎖ですね!

このときのエスターはアイビーさんだったのですが、
終わった後にすみませんでした~って謝りました(笑)。

 

Q:『ベンハー』という作品をやり終えて自分の中に残ったことは何ですか?

これまで僕が大劇場でやってきたのは主にライセンス作品でした。
ライセンスは既に完成していて、ただ演出家が来て
決めた通りにやらなきゃいけないのですが、
『ベンハー』はオリジナルなので、
僕がメッセラというキャラを作った初めての人で、
俳優としてワンステップ成長できる重要なきっかけになりました。
本当に大変でしたけどその分得たものが多かったです。

 

Q:ワン・ヨンボム演出家からどんなアドバイスがありましたか?

俳優ごとに性格も体型も異なりイメージもすごく違うので、
個人個人が一番生かせるようなキャラを作れるように助けてくれました。
何かを要求するよりはいろいろ話を聞いてくださいましたね。

「歌をうまく歌おうとするな。声をどうやって出そうかを悩まずに、
今この話をなぜするのかをもっと悩みなさい」
と言われたのが特に印象に残っています。

俳優は上手くやりたいものなんです。
演技も大げさにやりたいし歌も高らかにうまく歌いたいものですが、
そういうことはせずに真実の気持ちで素直に演技をしてほしいと言われました。

Q:次回作の『アンナ・カレーニナ』は手ごたえはどうですか?

とても面白いし、大変だし(苦笑)、
今俳優たちだけで会ってキャラを作っているところですが、
かなり魅力的なキャラになりそうです。
おそらく世界で一番自分に素直な男になるんじゃないかな。

 

Q:愛の演技は自信ありますか?

実を言えば『アイーダ』『ウィキッド』でのキャラクターとちょっと似ていて、
ちょっとのミスで同じ演技になってしまう恐れがあります。
全く違うキャラにしたいのでそれを探すのが難しいです。
これまでとは完全に違う愛の演技になるために模索中です。

 

Q:体型管理には何をして気をつけてますか?

メッセラの時はジムで運動して筋肉を大きく作りました。
『アンナ~』のブロンスキーはロシアの軍人なので、
(と言ったところで思い当たったのか突然…)
あ、僕は軍人専門俳優なのかな?
『アイーダ』のラダメス、フィエロ、メッセラ、ブロンスキー、
あ、アンジョルラスもだ!

だからこそ一番注意するのは
同じキャラを作りたくないということですね。
新しいキャラを作るためにすごく努力しています!

 

ということで、次回作は

ロシアの生み出したミュージカル
『アンナ・カレーニナ』の海外初演に挑みます。
ヒロインはオク・チュヒョンとチョン・ソナという
韓国が誇るディーバたち。

そんな彼女たちを相手に燃えるような恋に落ちていく
ロシアの青年将校ブロンスキー役を担うミン・ウヒョク氏。

軍人専門俳優?とご本人も言うだけあって
ガタイの良い長身の身体が軍服に似合うのだ。

『アンナ・カレーニナ』は
2018年1月10日~2月25日まで
芸術の殿堂オペラハウスで上演されます。

麗しの青年将校役が楽しみです!

ちなみに「私と一緒に観に行きましょう!」という
韓国ミュージカルツアー(1/19~1/21)では
このミン・ウヒョクさん、チョン・ソナさんの日の
『アンナ・カレーニナ』を観ます。
良かったらご一緒しませんか?

ミュージカルツアーの内容は こちら

 

(2017年12月28日執筆)

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