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『僕らのイケメン青果店~チョンガンネ~』韓国ミュージカルの現場その④

さらに『恋の駆け引きの誕生』に続いて9月28日からは、
ドラマにもなった『僕らのイケメン青果店~チョンガンネ~』が
アミューズ・ミュージカルシアターで上演されることとなりました。

私は韓国公演を見て、その後、
演出のキム・ヨンアさんと出演陣に取材しました。

 

小さな青果店から
年商300億ウォンの食品流通会社の社長にまでなった
実在の人物の話を元にしたこのミュージカルは、

ドラマのような因縁のドロドロ要素はなく、
1人の青年が仲間たちと一緒に青果店をやっていく
青春サクセスストーリー。
若者たちが悩みを抱えながら夢をかなえていく過程を描く
さわやかな感動作です。
見どころは5人の、
タイプの違うイケメンたちの活躍ですよね。

最初の1時間は活気のある店の様子を
歌と踊りでショー的に楽しく見せていく。
後半になると、1人1人の抱えている事情が出てきて、
それぞれが葛藤し、
悩みながら結末に向かっていくという設定です。

キム・ヨンアさんは元々女優をやっていたので、
役者の気持もよくわかるそうですが、
稽古は厳しくてスパルタ。
出演のイケメンたちは
「信頼を与えてくれるのでついていきます」
と言っていました(笑)。

実は彼女以外にも『兄弟は勇敢だった?!』のチャン・ユジョンさんや、
『ウェルテルの恋』のキム・ミンジョンさんなど、
最近の韓国ミュージカルの演出家は女性が目立つので、

「女性が多いのはなぜ?」と聞いてみたら

「それを意識したことはないけれど、
現在、女性演出家ががんばって、
彼女たちが作っている作品が評価されているのは確か。
私たちは大型ライセンス・ミュージカルを見て育った同世代ですね」
と話していました。

また、出演者のひとりは
「なぜ、この作品を選んだのですか?」という質問に
「創作ミュージカルというと
圧倒的にラブコメや衝撃的なテーマの作品が多い中で、
若者たちが一つの夢に向かって努力していくという内容が
とてもいいなと思って出たいと思った」と話していました。

私が見た日はサービスデーで、
本当に野菜を客席に配ってくれて、
みんな大喜びでした。
熱気ムンムンで観客が楽しんで見ているというのが伝わってきました。
見終わったあとも、
テーマ曲のサビが耳に残ってつい口ずさんでしまいました。

今回の取材では、とにかく、
韓国ミュージカル界の勢いを感じましたね。
なにがすごいって、
俳優がみんな舞台を掛け持ちしているということ。

先日紹介したチ・チャンウクも『兄弟は勇敢だった?!』の公演の合間に
『ジャック・ザ・リッパー』で熱演していましたし、
『イケメン青果店』の出演者の中にも、
昼公演を終えてから取材を受け、
さらにその後に別のストレートプレイに出演するために
出かけて行った人がいました。
「すごいなあ。タフでないと生き残れないんだなあ」
と改めて思いました。

 

(2018年8月6日執筆)