韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『雲の階段』は、渡辺淳一の同名小説のドラマ化で、偽の医師にならざるを得なかった青年の愛と野望を描いたメディカル・ラブロマンスです。

家が貧しいために医大への進学を諦めた主人公の青年ジョンス（シン・ドンウク）は、小さな島の診療所で所長から医学を学んでいました。そんなある日、所長が不在のときに盲腸で担ぎ込まれた、高名な医学博士の娘ジョンウォン（ハン・ジヘ）を手術したことから大病院にスカウトされ、医師免許がないことを隠して勤め始めます。そしてジョンウォンと愛し合うようになるのですが、そのうちジョンウォンの婚約者（キム・ジョンヒョン）と、ジョンスに想いを寄せる看護師（イム・ジョンウン）が、ジョンスが偽の医者だということを知ってしまうのでした。

ホームレスだからとろくに診察してもらえなかった父親の復讐のために大病院に残る決心をしたつもりが、院長令嬢に強く惹かれてしまい、見てはいけない夢を見て、上ってはいけないあやうい雲の階段を進み続けてしまう男の葛藤と苦悩の姿が描かれます。

賛否が分かれる作品ですが、激しいメロドラマチックな展開に私はとってもハマリました！　なんといっても、優秀な医師に匹敵する能力がありながら、貧しい境遇ゆえに多くのことをあきらめざるを得ない人生のために、どこか一歩引いていて、たぎる気持ちを抑えている男を演じるシン・ドンウクの、ときおりかすめる愁いを帯びた優しい眼差しにドキリとさせられます。愛する女性への熱い思いを秘め、身のほどをわきまえようと必死に身を引こうとするのですが、思いがあふれてしまうという感じがとってもよく出ていてすごく素敵なんですね。童顔なのに声が低音というギャップも魅力です。
また、愛に一途な病院のお嬢様を演じたハン・ジヘもすごくいいです。惹かれまいとしながらも、留まれない思いに抗いきれずに愛の道に突き進んで行く２人のカップリングはぴったりでした。

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