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ガラスの城

『ガラスの城』は、新人アナウンサーが財閥の御曹司に見初められるというシンデレラストーリーで始まり、その後、シンデレラはお城の中で幸せに暮らしたのだろうかということを描いていく、一味違ったシンデレラストーリーがテーマのドラマです。

アナウンサーとして自己実現を図ろうとがんばっているヒロイン(ユン・ソイ)は、厳しさの中に温かさのある上司(キム・スンス)のことが気になりながらも、優しく真っ直ぐに自分に誠意を見せてくる御曹司(イ・ジヌク)に心引かれていきます。彼女は住む世界が違いすぎるからと悩みつつも御曹司との結婚を決意しますが、財閥家とはあまりにも育ちの違う彼女は、嫁ぎ先で苦労を強いられていくのでした。

貧しく育ち、母親に楽な暮らしをさせてあげたいと、一生懸命にたくましく生きてきた一人の女性の、‘玉の輿結婚’を経て自分のアイデンティティーに揺れていく姿と、彼女にとっての本当の幸せ探しを軸に、父親が絶対権力を振るう財閥家に生まれ育ったがために他の生き方を許されない子供たちの苦しみと葛藤。そして、父親の野望と彼らに命よりも大事と言わしめる世間体を守るために、家族に犠牲を強いていくという財閥家族の姿、そこから噴き出すさまざまな膿。人がうらやむ城は実はガラスの城で、いつ割れてしまうかわからない危ういものだということが描かれていきます。

胸の高鳴る見所は、御曹司を演じたイ・ジヌクの存在です。顔よし、家柄よし、性格よしの非の打ち所のない御曹司に扮していて、ちょっとまぶしそうに笑う顔が実にチャーミング。こんな人に切実に迫られたら、その後の苦労がわかっていても陥落してしまうのも無理もありません。そしてもう一人、ヒロインの心を揺さぶる存在として登場するキム・スンスも、抑えた大人の男の魅力で、こちらも付いていきたくなる男性像となっています。

愛は偉大で愛こそがすべてを凌駕するというドラマが多い中、この作品では、結婚は愛だけで乗り切って行けるのか、すべてを犠牲にしても愛があれば耐えられるのか、またそうする価値があることなのか、人は自分のアイデンティティーを失ってまで耐えることができるのか、さまざまなことを見るものに突きつけていきます。

見てる最中はもちろん面白いし、見終わってからもいろいろと考えさせられてしまう作品です。

 

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