映画解説

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タイトル 父、山(プサン)
韓国公開年 2009年
出演者 コ・チャンソク ユ・スンホ キム・ヨンホ
監督 パク・チウォン

【 映画紹介 】

『プサン 父、山』は、港町プサンを背景に、病気の息子を前にした二人の父親の物語です。

ギャンブル狂いのしがないチンピラのような男(コ・チャンソク)とその息子(ユ・スンホ)。ある日、その息子が腎臓移植をしなければ助からないと宣告を受け、それまでまともに父親らしいことをしたことのなかった男は、息子を助けるべく、18年間息子に隠してきた実の父親(キム・ヨンホ)に会いに行きます。しかし実の父親は成功のために家族を捨てたような男で、息子の存在を知っても無視しようとするのでした。

映画は、裏路地を歩くような荒んだ人生を生きてきた男たちが目覚めた父性愛を描いていて、タイトルも、「プサン」という場所の名前と、父は山だという意味の漢字で「父、山」という二重の意味を込め、単に荒くれ男たちの物語ではなく、父親の息子への愛を描いた家族のドラマだということを表しています。

この映画が初の長編デビュー作となるパク・チウォン監督自身がプサン出身で、武骨なプサン男児の情緒をよく表現できると考え、プサンを舞台にしてメガホンを取りました。

キム・ヨンホは愛を捨てて一人で生きてきた荒くれ男を演じ、『映画は映画だ』の監督役などで強い印象を残したコ・チャンソクが初の主演で、無責任で自堕落な父親役を演じています。反抗的な面を見せる息子役にユ・スンホが扮しています。

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ユ・スンホは、子供時代から長く演技活動をしていますが、この役を演じた時はまだ満で16歳前後でした。自分でも、「誰かの子役を演じるにも成人演技をするにも中途半端な年で、映画の中の子供の役が自分の実年齢とぴったり合っていてよかった」と出演の決め手を語っていましたが、この映画、暴力描写や暴言などが出てくるせいで19歳未満の青少年観覧不可の等級になってしまったんですね。なので、ユ・スンホは公開当時、年齢が足りず、自分で自分の映画が見られないというちょっと皮肉な状況になっていました。