映画解説

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タイトル 人形霊
韓国公開年 2004年
出演者 イム・ウンギョン キム・ユミ シム・ヒョンタク チョン・ホジン
監督 チョン・ヨンギ

【 映画紹介 】

『人形霊』は、人間を愛した人形たちの悲しみを描いた、美しく残酷なホラー映画です。

山の中の人形美術館に集った人々。カメラマンに彫刻家に小説家などと職業は様々ですが、彼らはこの美術館の人形師から、人形制作のモデルとして招かれていました。そしてあちこちに飾られた人形に、まるで見つめられるようにして、次々と不気味なことが起こっていきます。やがて彼らにはある共通点があることがわかってくるのでした。

命のないものでも愛を注ぎ続ければ魂が生じ、人形にも生霊が宿るということを描いていますが、その恐怖のモチーフとなっている球体関節人形とは、関節のところが球体になっていて、それぞれの関節を動かして様々なポーズをとることができる人形です。

チョン・ヨンギ監督は、『アウトライブー飛天舞』の脚本家で、本作で監督デビューしましたが、球体関節人形があまりにも美しく、悲しく見えて、この映画を作ろうと思ったそうです。そしてアンティークな雰囲気とゴシック調の映像をテーマに据えて作品を表現しました。

主演は、まるで本当に人形が動き出したかのようなビジュアルのイム・ウンギョンと、『商道』『威風堂々な彼女』などのキム・ユミです。

tashiro

愛した人間の男のために長年にわたって計画した人形の復讐劇でしたが、恐ろしさよりも、愛されたことを忘れることができない人形たちの悲しみが伝わってきました。と同時に、愛する時は人間のように愛したくせに、飽きるとただのおもちゃのように捨ててしまう人間の身勝手さを痛感させられますが、そんな経験は、誰しも心当たりがありそうで、後ろめたさがつきまとう作品です。