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春の日は過ぎゆく

『春の日は過ぎゆく』は、離婚歴のあるラジオ局の女性アナウンサーと年下のサウンドエンジニアの恋の芽ばえと愛の終わりを淡々と情緒的に綴り、愛は移ろうものだという現実を描き出した作品です。

地方局のアナウンサーでありプロデューサでもあるウンス(イ・ヨンエ)はサウンドエンジニアのサンウ(ユ・ジテ)の協力を得て、自然の音を聞かせる番組を一緒に制作することになります。音を録音して取材していく過程で、年上のウンスのリードで二人は恋人関係になっていきます。初めての恋のように愛にのめりこんで行くサンウ。気持ちが高まり、家族に会ってほしいとウンスに告げたときから、ウンスはサンウと距離をおくようになるのでした。

恋愛が終わったあとにどんな感情が残るのかを描いた作品で、愛を失ったことのある人なら誰でも経験したことのある、突然の別れを受け入れがたい心の動揺や愛への執着といった感情が、おだやかな時間の流れの中で、切なく胸に迫ってきます。
主人公のサンウには、その純粋さがぴったりだったというユ・ジテが扮し、離婚歴のあるウンスを『宮廷女官チャングムの誓い』のイ・ヨンエが演じ、それまでになく、なまめかしく、つかみ所の無い大人の女を好演しています。

サウンド・エンジニアという職業の男性が主人公だけに、木々がざわめく音、川のせせらぎなど音が効果的に使われています。ホ・ジノ監督が、小さな音の良さを感じてほしいと、人々に安らぎを与えるような音になるように心がけたという繊細な音の美しさに耳を傾けてご覧下さい。

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