映画解説

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タイトル ペントハウスエレファント
韓国公開年 2009年
出演者 チャン・ヒョク イ・サンウ チョ・ドンヒョク イ・ミンジョン
監督 チョン・スング

【 映画紹介 】

『ペントハウスエレファント』は、30代序盤の男性が陥った精神的な危機と成長譚を刺激的な事件と独特な映像手法で見せていく映画です。

フリーカメラマン(チャン・ヒョク)に、整形外科医(チョ・ドンヒョク)、そして外資系の金融専門家(イ・サンウ)。幼なじみの3人はともに成功し、高級車を乗り回し、ペントハウスのような良い部屋で華やかな暮らしをしていますが、満たされない心を抱えています。一人は別れた恋人を忘れられずにひどい喪失感に苦しんでおり、一人は妻がいながら複数の女性たちとの刺激的な関係にのめりこんでいき、そしてもう一人は12年前の初恋を取り戻そうと、すでに友達の妻となっている女性と不倫に陥っています。執着に中毒、記憶、愛、喪失という複雑な感情に苦しめられている30代序盤の男たちは、その不安定な心理状態ゆえに取り返しのつかない悲劇を起こしてしまうのでした。

人物たちの精神的な危うさを、破格的な映像と感覚的なスタイルで表現した問題作で、ハーバード大学出身の新人、チョン・スングが監督した作品です。

チャン・ヒョク、チョ・ドンヒョク、イ・サンウというドラマでもおなじみの3人が主人公に扮し、ドラマでは見せることのないセクシャルなシーンを演じています。

女性陣は、イ・ミンジョンとファン・ウルスレ、そして性接待の苦痛を訴えて自殺したチャン・ジャヨンが出演しており、彼女の遺作ということで話題になりました。

tashiro

この映画が公開されたのは、2009年の11月5日で、チャン・ジャヨンさんが自殺してから8カ月後のことでした。セクシャルなベッドシーンや自殺する場面があり、現実を彷彿させるだけにカットされるかどうか注目されましたが、チョン・スング監督は、映画の完成度も考え熟慮した上で、あえてカットせず、この編集版を公開することにしたそうです。それにしても何ともやるせない気持ちになりますね。改めてチャン・ジャヨンさんのご冥福をお祈りいたします。