フライ、ダディ

『フライ、ダディ』は、家族を守れる父親になるために、しがない中年男が、強く、自慢のダディになるべく奮闘する姿を描いたヒューマンドラマです。

平凡にまじめに生きてきた中年サラリーマン（イ・ムンシク）。ある日高校生の娘（キム・ソウン）が、高校のボクシングチャンピオンに殴られひどい怪我を負ってしまいます。政治家だという親の権威を見せ付けられ、悔しくても何も出来ない自分にふがいなさを感じ、知り合ったけんかに強い高校生（イ・ジュンギ）に弟子入りし、相手を殴り返すことを誓うのでした。こうして、４０日間のハードトレーニングが始まります。

日本の作家、金城一紀のベストセラー小説「フライ、ダディ、フライ」が原作です。19歳の高校生と39歳の中年男の、世代を超えた友情とチームワークで、しがないサラリーマンが生まれ変わっていく姿を、ときにコミカル、ときに感動的に、痛快に描いていきます。

この作品がデビュー作となるチェ・ジョンテ監督は、自身も娘を持つ父親だけに、原作小説を読んだとき、父と娘の物語として普通のお父さんに向けてこの題材を描くことを決意したそうです。

主演は、数々のドラマで印象的な助演を演じてきたイ・ムンシク。小柄な身体で必死にがんばる姿は、見るものの共感を誘います。『王の男』で女性よりも美しい男と呼ばれるようになったイ・ジュンギが、イメージを一新させる、クールで挑戦的な眼差しを見せるカリスマ高校生役を凄みのあるりりしさで演じています。

ちなみに映画の中で主人公の中年男が「チャンガ」という愛称を名乗っていますが、これは、日本のロボットアニメ「アストロガンガー」の韓国放送時の名前です。どこかでなにかがあれば必ずやってくるという、地球を守るヒーローのことなんですね。それを踏まえてご覧になると、より理解が深まると思います。