映画解説
タイトル | ダイ・バッド~死ぬか、それとも悪(ワル)になるか~ |
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韓国公開年 | 2000年 |
出演者 | リュ・スンワン パク・ソンビン リュ・スンボム |
監督 | リュ・スンワン |
【 映画紹介 】
『ダイ・バッド~死ぬか、それとも悪(ワル)になるか~』は、思うままにならないアウトサイダーたちの姿を描いたハードボイルドアクションです。
4本の自主制作短編フィルムをつなげてひとつの作品にした4部構成のリレー映画で、韓国では短館上映ながらもカルト的な人気を博し、批評家からも高い評価を得ました。リュ・スンワン監督が、最初から短編をつなげて1本の完成作品にしようという考えのもと、1本目は96年、2本目は97年、3本目は99年、4本目は2000年に完成と、実に5年がかりで作り上げました。出演者全員がノーギャラで、苦労を重ねて超低予算で作り上げたという、監督の根気と熱意にあふれた作品です。
各作品の登場人物は共通していて、ひとつひとつのパートで完結していますが、話には連続性があります。工業高校の学生がビリヤード場でけんかになり、けんかを止めようとした少年が誤って相手を死なせてしまうところから始まります。その青年と友達がその後ヤクザと刑事になって人生が交差していく様が、アクションあり、ホラーあり、またドキュメンタリータッチありと様々な要素てんこ盛りで描かれていきます。
この作品が長編デビュー作だったリュ・スンワン監督は、刑事役で出演しており、実の弟で、『アラハン』などのリュ・スンボムが弟の役で俳優デビューを飾りました。青龍映画賞の新人監督賞を兄が、大鐘賞の新人男優賞を弟のリュ・スンボムが受賞しました。
いかがでしたか? 最後のパートがモノクロになっていましたが、それは、登場人物たちが白にも黒にもなりきれない若者たちなので、モノクロで撮ることで彼らがさまよっている姿が浮き彫りになればという意図があったそうです。
そして監督自身も刑事を演じていることについては、「役者志望だったけれど、誰も僕を使ってくれないので自分でやりました」と語っていました。この作品でデビューしたリュ・スンワン監督は、ジャッキー・チェンやタランティーノが好きだというだけあって、その後も『アラハン』『クライングフィスト』などアクション映画で目覚しい活躍を見せ、最近では『ベルリンファイル』や『ベテラン』といったヒット作を生み出すなど、韓国映画界に欠かせないスター監督の一人になっています。