ミュージカル

ミュージカル一覧に戻る

『ON AIR~夜間飛行~』鑑賞

 

2月5日から始まっていた上記のミュージカル、
本日ようやく見に行ってきました。
主演を超新星のユナクが演じたバージョンです。

韓国の人気アイドルグループのリーダーが
スキャンダルにあって
活動休止を余儀なくされる中、
日本のラジオ番組で再起を図るうち、
日本人女性ディレクターと恋に落ちて~
という物語です。

この作品の大きな売りが
観客参加型というところなので、
場内アナウンスで、
劇中、アイドルグループSPARKの
ライブシーンでは、黄色い歓声も、
立ち上がっての声援も大歓迎ということが案内され、
客席にはペンライトを持ったファンがスタンバイ状態。

ファーストシーンはSPARKのリーダージェイが、
軍への入隊を前にした日本での
ラストコンサートシーンから始まります。
ユナクが「元気で行ってくるから2年間待っていてね~」
と言うのですが、
実際にも彼はそうやって軍隊に行ったであろうので
ファンにとっては体験済みの既視感を味わったかも。
でも、ファンの方々もちゃんと
「ジェイ~!」と役名で叫びます。
ここまで来ると、
どこまでが芝居でどこまでが本当なのか
ごっちゃになりそうですが、
その紙一重の感じが、ファンにとっては
ニンマリできるところなのでしょう。

昨年宝塚を退団して初の舞台となる愛加あゆ
さんがヒロインとして出演の日だったので
客席には宝ジェンヌさんたちが見えていました。
愛加さん、コメディエンヌっぷりも発揮していて
反発しているところから惹かれ合っていく過程が
可愛くて良かったです。

SPARKのメンバーで
主人公のライバル役となっていく役を演じる
Apeaceのヨンウォンも、アンニュイで
独特な雰囲気を持つ人で、
出番はそんなに多くないのですが
目を引きました。

ジェイがラジオ番組のDJとして人気を得ていく
という設定なので、
観客から事前にラジオへの相談事を募っていて
その中から実際にファンの質問に
ユナクことジェイが答えていくという仕掛けになっています。
なので毎回内容が変わるんですね。
ここ、真剣に答えているので時間が長くなったりして
演者のアドリブ力も試されます。
でまた質問した人が会場にきてたりするんですよね。

この時は
「ちゃんとした理由も言われずに
別れを切り出されたかつての彼と
数年ぶりに再会しそうになったけど、
声をかける勇気がなくて逃げてきてしまった~」
という方に、
「こんな男は良くない!きっとプライドが高くて
本当の理由が言えなかったに違いない」
と言い放ち、
「女の子の方から好き好きと迫ってはダメです。
女の子は言われる立場にならなくちゃ」
とアドバイスしていました。
またラジオの公開番組をやるにあたって
誰かタレントのゲストを呼ばなきゃいけないという下りで、
ユナクが知り合いのタレントに電話をして出演依頼するという
シーンも有り、そこでは私が見た時には
現在ドラマ『私の残念な彼氏』で共演中のノ・ミヌに
生電話していました。

屋台で飲む場面では、
客席からお客さんを数人上げて一緒に飲んだり、
随所にその日だけのナマの仕掛けが入る。
舞台はナマモノと言っても、そこに更にナマが加わるので
見てる方は毎回違って楽しいですが、
やる方はちょっとドキドキでしょうね。

 

それにしても、
ユナクは日本語が安定しているので危なげがなく、
オレサマっぷりと茶目っ気とを存分に出して
舞台を仕切って盛り上げていました。
生相談のシーンやナマ電話とか
結構ちゃんと会話をするので
ついつい時間が長くなり、
2時間の予定が終わってみれば
2時間半になっていました。
観客も時にはコンサートに来た観客になり、
時にはラジオを聞いているリスナーになり、
そしてあるときは公開収録を見に来た観客として
そこにいるわけで、
ちゃんと参加しないといけません(笑)。
舞台を盛り上げるのは最後は客の力ですからね。

そんなこんなで、
そうした日替わりのナマ部分は、
ジェイという役に関係なく、
演じるそれぞれの俳優、
今日で言えばユナクとして答えているので、
主演俳優の個性が如実に内容に反映するという、
全体にミュージカルとファンミが合体したような錯覚というか、
そんなフレンドリーな楽しさが感じられ、
ファンにはたまらない舞台になっていました。

『ON AIR ~夜間飛行~』の上演は2月12日まで。
Zeppブルーシアター六本木

 

(2015年02月10日執筆)