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『ヴァンパイア-愛と憎しみの果て-』イ・ホンギ編

 

韓国では『ドラキュラ』
そして東京では『ヴァンパイア』と、
日韓両国で、素材は同じながら、
曲も内容も異なるミュージカルの
ドラキュラ作品が上演されています。

ドラマ『百年の花嫁』を見てからというもの、
すっかり
「イ・ホンギっていいじゃない!」
モードになっている身としては、
彼が、主演のヴァンパイアを演じるミュージカルを
見逃すわけにはいきません。

というわけで、
早速初日を観に行ってきました。

そもそも
韓国で上演中の『ドラキュラ』とは、
同じドラキュラ伯爵を主人公にしていて、
愛する女性を失って神に背いて吸血鬼になる~
というところの設定は同じですが、
愛する女性の名前も違いますし、
そこからの展開が全く別物になっています。

『ヴァンパイア』はチェコで生まれた作品で、
1300年代、1600年代、そして1900年代と
3つの時代が出てきます。

1300年代でドラキュラが恋人を亡くし、
ヴァンパイアになった発端が描かれ、

その300年後は
ドラキュラを研究している女性ロレインとドラキュラが出会い、
ロレインのほうがドラキュラに恋焦がれて
自ら吸血鬼になってしまい、彼女の恋人の神父が
ドラキュラへの復讐を誓って、
やはり自分も吸血鬼となってしまうという経緯が描かれます。

そして更に300年後、
カジノを成功させて大富豪となっているドラキュラ伯爵と
一緒に暮らしているロレインの前に、
600年前の亡き恋人とそっくりの女性サンドラが現れ、
心を揺らすドラキュラと嫉妬に苦しむロレイン、そして
ドラキュラとロレインに復讐するべく悪魔となった
神父との戦いが描かれていきます。

とにかくセットが巨大で豪華で
お金かけてる~という感じ。
アンサンブルの数も35人ほどで、
主要キャスト入れると40人の大所帯。
韓国『ドラキュラ』のほぼ倍です!

その数多くのアンサンブルの群舞が迫力があって、
アクロバットのようにバク転や宙返りも入ってなんとも派手。
不気味さとか暗さはあまり感じられません。

今年春に見て素晴らしかった
創作ミュージカル『フランケンシュタイン』を始め、
『Jack the Ripper』『三銃士』の
ワン・ヨンボム演出家の手がけた作品とのことで
話の転換もとってもスピーディーです。

しかし、少々スピーディーすぎるのか、
ストーリーの突っ込みどころは多々あって(笑)、
場面場面はとてもいいんだけど、

え~、いつのまにそんなに憎んでたの?
とか、
え~、そっちに行っちゃうの?
で、えっ、こっちに戻ってくるの?
って感じで(笑)、
2幕は結構???となってしまいました。

ま、でもみんな歌がうまいし、
ホンギも素敵だし、
深く考えずに勢いと力技で素直に持って行かれたら
いいのかもしれません(^-^;。

で、イ・ホンギは三変化します!
最初が伯爵の甲冑姿、
そして300年後は長髪を束ねた貴族の青年姿、
更に300年後は裾長のロングコートを着こなす大富豪と
かっこいい姿を見せてくれます。

加えて片方の口の端を釣り上げた
サディスティックな表情や
愛する女性を失って慟哭する表情、
亡き恋人にそっくりな彼女を見て優しく戸惑いを浮かべる表情など、
『百年の花嫁』でイ・ホンギをいいと思った方々には、
ズバリ、こういう彼が見たかった~という彼がそこにいました。
厚みのあるセクシーボイスで情感たっぷりに歌い上げ、
堂々たる主役でしたね。
ファンにはたまらないと思います。

他の俳優さんたちも思いっきり歌い上げる楽曲を
見事に歌いこなしてくれるので、聞き応えがありました。

特にロレイン役のユン・ゴンジュさんや、
元劇団四季の西珠美さんことチェ・ヒョンジュさんは
素晴らしかった!

この作品をソンギュとソンミンがどう演じるのかも
気になるところです。

 

(2014年08月11日執筆)