ドラマ解説

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タイトル イルジメ〔一枝梅〕
韓国放送年 2008年全20話
演出 イ・ヨンソク
脚本 チェ・ラン
出演 イ・ジュンギ ハン・ヒョジュ パク・シフ イ・ヨンア イ・ムンシク 

【 ドラマ紹介 】

『イルジメ〔一枝梅〕』は、17世紀の朝鮮時代、実の親を殺した証拠となる刀を探すために両班の家に押し入り、次第に義賊活動をしていくようになる孤高の青年イルジメの物語で、単なるアクション活劇にとどまらず、過酷な運命を背負った一人の青年の孤独がドラマチックに描かれていきます。

イルジメというヒーローは、もともと、明や清の時代の中国の小説に登場し、朝鮮に伝わったと言われている架空の人物です。70年代にコ・ウヨンという人がマンガ化して大ヒットして以来、広く知られるようになったそうです。

このイ・ジュンギ主演版はオリジナルストーリー。父親の敵が持っていた刀を探すために盗みに入るようになった青年が、盗んだものを貧しい人に配るようになり、現場に一本の梅の枝の絵を残すことから“一枝梅(イルジメ)”と呼ばれて圧政に苦しむ庶民たちのヒーローとなっていきます。

長い髪に鉄仮面マスクという盗賊の装束で敵をバッタバッタとなぎ倒し、タッタッタと身のこなしも鮮やかに駆けていくイ・ジュンギに魅了されない女はいないのでは?と思うほど魅力的。屋根の上で見得を切るかのように目線を決める場面などは、「よっイルジメっ!」と思わず掛け声をかけたくなるほどのかっこよさです。でも内面には痛みを胸に秘めながら戦っているという孤高のヒーローの魅力にもあふれていて、悲しみの場面での慟哭シーンなど、監督も絶賛するほど演技もすばらしい。また農夫や清の使節、商人、両班などに変装して七変化を見せるのもドラマを見るお楽しみの要素です。

一方、イルジメを追う立場になるのが、パク・シフ演じるシフ。家族の情にも恋情にも縁が薄く、イルジメを追うことが生きる目的のすべてになってしまった、このドラマで最もかわいそうな人物といえるでしょう。月の光のような、神秘的な青白い存在感とでもいいましょうか、一歩引いた清廉な貴公子というイメージがとてもよくはまっています。

ヒロイン、ウンチェを演じるハン・ヒョジュは、たおやかで、芯があって、きちんと人に意見することのできる知的で堂々としていてものすごくいいです。イルジメが心に抱いて忘れられないのも無理もないと思わせる‘素敵な女性’像に見事になりきっていました。

実はヨン(イ・ジュンギ)がイルジメとなっていくのは、第8話くらいからで、最初のうちは「なんという運命の巡り合わせだ!」と思ってしまうほど絡み合った登場人物たちの悲しき縁が描かれていきます。義賊ということ以上に、もっと哀切で熾烈な運命を背負った人物になっていて、そこがいいんです!チンピラまがいの時はおちゃらけて軽い男なんだけど、イルジメとなった時には「父の敵を捜す」という気持ちを胸に抱きながら、運命に立ち向かっていく。初恋の人ウンチェに対しては、ヨンの時はなかなか思いを告げられず、逆に嫌われてしまったりしますが、夜になりイルジメの姿となって切ない恋を繰り広げていきます。普段の時の情けなさとヒーローとなった時のかっこよさ。この二面性に心惹かれます。ラブの要素は思ったほど多くないのですが、その貴重なヨンとウンチェの心を通わせるシーンはどこも心つかまれてしまうほどいいシーンです。また、血はつながっていないけれど、彼を実の親以上に深い愛情で育てた義理の父との親子の絆にも多いに泣かされます。

ヨンの成長を描きながら、絡まった運命が解きほぐされていき、さらには富める者と貧しい者とのせめぎ合いの中で「本当に世の中のためになるのはどういうことなのか」という問いもにじみ出てきます。庶民に対してひどいことをしている人をこらしめたり、溜飲が下がるようなスカッとするシーンもありますが、根底にはヨンの背負った悲しみや運命が漂っているので切ないんですね。エンターテインメントとしてもおもしろいし、脚本もとてもよくできている作品です。

 

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