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若手のトップを走るRAIN(ピ)とカン・ドンウォン

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2005年4月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

現在韓国のKポップ界と放送界でトップの人気を誇っているのがRAIN(ピ)とカン・ドンウォン。

RAINは2002年にデビューしたR&B歌手。184センチという長身に、鍛え上げたたくましい体。恵まれた体格を生かしたパワフルでセクシーなダンスは、見るものをひきつけずにはおかない魅力に溢れている。中学時代からダンスにハマリ、高校も芸術高校に進学して数々のダンスコンテストに出場しながら、歌手になる夢を育てていた。そんなある日、先輩の紹介で遊びに行ったのがダンス歌手で有名だったパク・チニョンの事務所。そこでパク・チニョン自身から、オーディション用にビデオを送ってみなさいといわれ、送ったテープが目に留まり、そこで修行することになった。この間2年。修行中は、「ダンス歌手なのに、年を取ってしまって大丈夫なのだろうか」とあせる気持ちと戦いながら、必死にダンスや歌のレッスンに励んだ。振り付けのための基本の12の動作、9つのステップが盛り込まれたビデオを見ながら、それこそ、うんざりするまで練習したという。そしてバックダンサーをしながら舞台度胸も磨いていった。


いざデビューしてからは、その年の新人賞を総なめにし、昨年は、その年最も活躍した歌手に贈られる歌謡大賞も受賞した。RAINの座右の銘は「限りなく努力、限りなく謙虚に、限りなく忍耐」だ。その言葉どおりに、トップとなった今でも常にベストを尽くす姿勢を崩さない。「ステージはファンとの約束だと思っているので、いつも100%の力を出せるようにと思っています」。とにかくまじめなのである。2003年からは役者にも挑戦し、演技も上手くて視聴者を驚かせた。目下、向かうところ敵無しのオールラウンダーだ。

もう一方のカン・ドンウォンは、2000年の夏に街中でスカウトされモデルとしてデビュー。186センチという背の高さに、すらりと伸びた長い手足は目を引くのに十分。鋭い眼差しでありながら、どこか愁いを帯びて悲しげな眼差しに、甘く色気のある顔つきは主に少女たちの心を捉えている。モデルとしてCMやミュージックビデオなどに出演しながら演技を学び、2003年からドラマに出始めた。ものすごくまじめに熱心に演技に取り組むので、関係者のあいだではこの頃から将来有望と目されていたという。地方出身だけにデビュー当時はなまりが抜けなくて苦労したこともあったようだが、2作目にして既に主役に抜擢。そして映画にも進出し、昨年、彼にとっては4作品目となる『オオカミの誘惑』で、人気が爆発した。けんかが強いがナイーブなイケメン高校生を演じ、そのあまりの素敵さに、彼のファンクラブのサイトには一日平均追加加入者が1万人にも上る勢いだった。

「この人気は自分でも予想外のこと。俳優として与えられた役柄をひとつずつこなしていきながら一歩ずつ進もうと思っていたのですが、この映画によってとても人気が出たので幸運だったと思います。でもまだ俳優としてしっかり立場を築いているわけではないですから」と言う。トップになっても変わらないこの謙虚さが今後の彼の活躍につながっていくに違いない。

延長戦コラム

最近韓国で映画やドラマの題材によく取り上げられるのが、インターネット小説だ。純朴な大学生が、とんでもない言動を取る‘彼女’に振り回されるという内容の『猟奇的な彼女』もそうだったし、ひょんなことから同棲を始める若者たちの等身大の愛を描いた、人気ドラマの『屋根部屋のネコ』もやはりインターネットから登場した小説が原作だった。また3月に日本で公開予定の『オオカミの誘惑』もそのひとつだ。特に美人でもないさえない転校生の女子高生が、タイプの違う二人のイケメンから愛されるというストーリーは、まさに全世界共通の少女の夢。韓国では300万件を超えるアクセスがあったほど、爆発的な人気を呼んだ。この映画に主演のカン・ドンウォン自身も、映画化の話が出る前から、すごく話題になっていたのでネット上で読んでみたといっていた。著者は当時18歳の現役女子高生。彼女はこのほかにもやはり映画化された『あいつはカッコよかった』などの作品を手がけ、女子高生インターネット作家として一躍有名になった。ネット大国韓国らしい現象だ。