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チャ・スンウォン

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より

絶対忘れられない濃い顔立ち。その暑苦しさ(?)を十二分に生かし、かっこいいのか悪いのか、もはや判断がつきかねる表情演技で今や韓国映画界のコメディーキングである。

高3の時、友人と演劇学院に行っていたが、モデルに誘われたのがこの道に入るきっかけだった。そして大学1年の時、4歳年上の恋人と結婚して、なんと20歳の若さでパパになったという芸能界の中でも異色のタレントである。

モデルを始めて5年ほどは妻子を抱え、経済的プレッシャーなどで苦労が多かったというが、95年末から運が向きはじめ、韓国のベストモデル賞を受賞するほどの自他共に認めるトップモデルへと成長した。

そしてトークショーの中でコーナーMCをつとめ本格的な放送活動をスタートさせたが、トップモデルというすかした感じはなく、ユーモアセンスのある話術と格好良さで視聴者にも親近感を与える仕事ぶりだったとか。これで人気を得た彼はその後ドラマ、CFと引く手あまたの存在になった。

最初の映画は『ホリデー・イン・ソウル』で、いつもホリデー・イン・ソウルの部屋で足モデルのチン・ヒギョンと逢い引きを重ねる謎の男で、セリフはほとんど無し。生活感の全くない、モデルをそのまま引きずってきたような役だった。

実質的映画デビューとなった『日が西から昇るなら』ではイム・チャンジョンの恋のライバルで、スター女優となったコ・ソヨンにアプローチするラーメン会社の社長役だった。

次は『チャグイモ』で、出世のためにキム・ヒソンを捨て社長の娘と結婚する卑劣な証券会社のブローカーで、情け無い役。

極めつけは『身魂旅行』で、新婚旅行で済州島に来た遊び人のしようもない金持ち男が初夜に殺されてしまうという役なのだ。こんなにもいまいちな役が続いていて、こんなんでいいのかなあ?とよけいなお世話ながら心配していた。トップモデルとして韓国でキャーキャー騒がれるような人気ぶりと、映画ぐらいでしか彼のことを見る機会のない私などはギャップを覚えたのである。

しかしこうした役での出演も「すっきりしていて感じのいい男性」という自分の既成のイメージを破りたいという彼なりの試みがあってのことだったようだ。

そんな彼の映画初主役は『世紀末』だ。いくつかのストーリーが入っているオムニバス映画だが、この中でチャ・スンウォンは、破格的な変身を遂げている。彼が演じたのは教壇で社会批判をしながらも出世できない焦燥感から妻のある身で他の女との情事におぼれる大学講師の役。常に何かに不満を持っているようないらついた表情で、まさしく演技者としてスクリーンに登場したのである。監督からも「この映画で生まれ変わった」との評価を受けた。

2000年には、『リベラ・メ』でやってみたかったという悪役に挑戦。子供の頃に虐待されたせいで火に執着を持ち、誇大妄想に陥っている不敵な連続放火犯を演じている。この映画のためにテレビやCFの仕事をセーブして撮影に臨み、釜山での撮影時、自分の出番がない期間も毎日現場に顔を出して映画の雰囲気にどっぷり浸かったという。その意気込みが演技にも反映され、カリスマ性のある悪役ぶりで、演技力が更に高まったとの評価を受けた。

これ以降はがらりと作風を変え、コメディーに連続出演。そのどれもがヒットするものだからすっかりコメディースター、チャ・スンウォンというイメージが定着している。

久々にドラマ出演した『ボディーガード』でも、クールなボディーガードではなく、すぐカッとなる人情味たっぷりの兄貴という感じで人気を博した。