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チェ・ジウ

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より

『冬のソナタ』のヒロイン、ユジン役で一躍日本でもトップスターに浮上したチェ・ジウ。韓国美人というときついメークを施した人工的な顔を思い浮かべがちだが、チェ・ジウは、雪の白いイメージにマッチした純粋な雰囲気とやさしそうな顔立ちが日本人にも大いに受けた。

94年にMBCのタレントオーディションに合格し、女優の道を歩むことに。デビュー1年目に出たのが解放50周年記念ドラマの『戦争と愛』で、挺身隊の女性に扮して自ら命を絶つ悲運の女性を演じて好評を得た。

96年には時代劇『帰天図』で主演映画デビューという好機に恵まれる。テレビの活動を一切中断して映画にだけ没頭する日々だったが、撮影を少しした段階で監督の交代やシナリオの大幅な変更にあうなどの制作側の事情に加え、スクリーン演技に適応するのも難しかったとして途中降板となった。このときは虚脱感に見舞われ、何日も涙に暮れるほど最もつらい時期だったという。

だがこの経験が彼女を強くした。自分の実力不足を痛感した彼女は2ヶ月の間、映画を見まくり、鏡の前で一日2、3時間ずつ表情演技の練習に励んだという。そうした中で、再び新人として取り組むつもりで出たのが、ある映画のイベントで行われたイザベル・アジャーニ選抜大会だった。ここでチェ・ジウは大賞に選ばれ、これを機に再び巻き返しを図ることになったのだ。

その後『パクボンゴン家出事件』で映画デビューを果たし、97年には初主演の『罠』に出演。息子への溺愛が常軌を逸している姑と嫁との恐ろしい戦いを描いたサイコスリラーで、幸せな結婚生活を夢見たはずが、姑からの恐怖のいじめにあう若妻を体当たりで演じた。これで百想芸術大賞映画新人演技賞を受賞し、ようやく映画降板の悔しさを払拭した。

チェ・ジウは今でこそ「涙のヒロイン」と呼ばれ、つらい目にあったり悲しい愛に翻弄される薄幸な女性を演じることが多いが、最初に注目を集めたドラマ『初恋』で演じたのは、堂々として、はっきりと意見を主張する独立心旺盛なお金持ちのお嬢様役だった。

『冬のソナタ』のペ・ヨンジュンとの初共演作で、ここではペ・ヨンジュンに片思いするお金持ちのお嬢様の役。堂々としていてはつらつとした女子大生を演じて大いに注目され、スターへの階段を上ることになった。

にもかかわらずどうも‘薄幸キャラ’のイメージが付きまとうのだが、ロマンチックラブコメディーの『新貴公子』は珍しく、とてつもない大金持ちのお嬢様役。イギリス留学帰りで、毎回豪華な衣装に身を包み、華やかで可愛げたっぷりで新鮮な魅力が感じられた。

2002年の『ピアノを弾く大統領』でも、型破りでおてんばな高校教師が生徒の父親である大統領と臆することなくやり合って恋に落ちていく様子を生き生きと明るく演じていて、チェ・ジウの魅力が満載だ。実はその前に『情け容赦なし』でも殺人犯アン・ソンギの恋人役を演じているのだが、このときはアン・ソンギの思い人を演じるにはどうも貫禄不足の感じでいまいちだったのだが、『ピアノを弾く…』ではちゃんといい感じのカップルに見えていた。それだけチェ・ジウも成熟したということか。

『冬のソナタ』の次に出たドラマ『天国の階段』では、継母にいじめられ、義理の姉の仕業で事故にあい、記憶を失い、果ては失明して…という、これまでの集大成ともいえるようなこれでもかの悲劇のヒロインを演じている。

さめざめと泣く姿も美しいが、そればかりでも食傷気味。ロマンチィックラブコメディー路線の明るいチェ・ジウもとてもいいので、バランスよく魅力を発揮し続けていって欲しいものだ。