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シム・ヘジン

※2001年4月発行「韓国エンターテイメント三昧vol.2」(芳賀書店)より

クールビューティーのいい女。小粋な姉さんといった感じである。その活躍は韓国内にとどまらず、香港のウォン・カーワイ監督からのラブコールで、木村拓哉が出ることでも話題になっている新作映画『2046』にキャスティングされており、アジアデビューも間もなくだ。

高校卒業後、既にモデルとして活動していた姉の誘いでCFモデルを始めたのがこの世界に入るきっかけだった。デビュー初期、1988年のコカコーラのCFで恋人を軽く肘で打つという新鮮なイメージが印象的で、しばしば「コーラのような女」と例えられたという。涼しげな微笑みで一躍人気者になった。そして、89年に映画デビュー以降、次々と映画に出演。彼女が最も記憶に残る作品として挙げている89年の『追われし者の挽歌(原題:彼らも私たちのように)』ではナント国際映画祭主演女優賞に輝いている。この作品は彼女に最初の名誉を与えただけでなく女優としての覚悟も与えてくれた作品だったという。俳優は監督の指示と要求によって演技しなければならないと言う通念から離れて徹底的に作品と人物分析を追及し、新しく人物を想像しなければならないということを悟らせてくれた作品だった。

その後、韓国映画界にロマンチックコメディーブームを作った92年の『結婚物語』の大ヒットで名実ともにトップスターに。この『結婚物語』と96年の『銀杏の木の寝台』、そして97年の『グリーンフィッシュ』で、実に3度も大鐘賞の主演女優賞を受賞しており、韓国映画界を代表する大女優の一人である。時には『パク・ボンゴン家出事件』のように、ある日突然歌手になりたいと家を出る30代の主婦を演じることもあるが、やはり、そこはかとない色香が漂うかっこいい女性像がしっくりくる。ウォン・カーワイ監督も「韓国的であり、インターナショナル的。個性のある顔に節制された演技が魅力」と語っていた。シム・ヘジンの顔にはなんか凄みが感じられるのだ。この人に言われたら何でも言うこと聞かざるを得ないような風格がある。

日本でも話題になった『失楽園』の韓国リメイク版ではヒロインを演じ、艶っぽさを全面に出している。日本でも公開された『グリーンフィッシュ』では、やくざのボスの情婦でありながら、ハン・ソッキュを惑わす「何かを抱えた女」で、退廃美の演技が秀逸だ。

映画がメインではあるが、テレビドラマにも出演している。2000年後半からはその名も『おばさん』に出ているが、もちろん彼女の役は普通のおばさんではない。海外留学から戻り母校の教授になるというかっこいい大人の女性像だ。同級生の男性たちも「あいつなんであんなに自信満々なんだ」と言いながらもそんな彼女に翻弄されている。そう、シム・ヘジンは男を翻弄するのが似合う女性なのだ。