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クォン・サンウ①

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より

若手ナンバーワン人気のモムチャン(=最高の身体つき)代表選手。鍛えられた筋肉隆々の体つきは思わず、「おおー」と歓声が上がってしまう。それでいて顔立ちはすっきりしており、特に頬からあごにかけてのラインが美しい。口元もきゅっと引き締まっていて清潔感に溢れている。モデル出身だけに立ち姿も美しく、そのりりしさは既に演技デビュー作の『火山高』のときから溢れていた。出番は少なかったが、このいい感じの生徒会長は誰?としっかり目が行った。

演技へのコンプレックスを身体を鍛えることで解消しようと努力したとインタビューなどで語っており、まるでそれだけが売りかのごとく彼の出演作では脱ぐシーンが出てくるのだが、彼の魅力は身体だけじゃない。なんといってもいいのは、優しさがにじみ出てしまう、情に溢れる眼差しだと思う。瞳が熱っぽいというか、ふっとこぼれるその優しい眼差しでググッと来てしまうのだ。

父親を亡くし、母親一人の手で育ってきた幼少時代。かなり苦労した青少年時代だったことも彼の優しさと無関係ではないだろう。だから大切なものをちゃんと大切にしそうな暖かな雰囲気がにじむのだ。

ドラマではコミカル路線が多く、『ただいま恋愛中』でチェリム演じるヒロインの弟役だったが、勉強嫌いだが、顔だけはいいというちょっとちゃらんぽらんなところのある男を、コミカルに、ふてぶてしく、憎めない愛嬌のある男性に演じて、一気に注目されるようになった。

その当時から‘花美男’といわれていたものの、彼の場合コメディー演技をやると三角眉になって美青年とはちょっと言いがたい印象になるので、私の中では実は「微妙だなあ」と思っていたのだが、‘微妙’‘微妙’と様々な彼を見続けているうちにすっかり「素敵!」とはまってしまった。

特にドラマの『太陽に向かって』がつぼだった。海軍の将校役だけに海軍の制服姿が凛々しく、おまけに一目ぼれした女性に向かって不器用なまでに実直に愛に突き進む姿が好ましかった。生き方に対しても、恋に対しても真っ直ぐに向かう姿勢や、幼い頃に両親を亡くし、親代わりとなって妹を育てたという妹思いの好青年ぶりが、表情のふしぶしからものすごく伝わってきた。仕事をさせればタフで頼りになるけれど、情に厚く、もろい部分がとっても人間味に溢れていて、かわいくて、応援してあげたくなる人だなあと母性本能が刺激されるのだった。

そして『同い年の家庭教師』はふてぶてしさ全開のやんちゃなキャラで、大成功。成熟した大人の男性というより、まだどこか、かすかに青い、未成熟な男の魅力とでもいおうか。また笑うと目の下の頬の筋肉がふっくらと膨らむのがこの人の特徴。どんなにふてぶてしい役をやろうと、このシャイな感じがにじみ出るクォン・サンウな笑顔にやられてしまうのだ。

そんな彼も御曹司を演じる日がこようとは…。『天国の階段』では大企業の御曹司で、海外留学をし、ピアノなども弾いてしまう、ハイソなお坊ちゃま役。愛する女性を追いかけてひたすら走り、求め、激しくその愛を貫いていく。微熱を帯びたような瞳をしているので、愛にのめりこむ演技をさせたらきっといいだろうなあとおもっていたら、やはり抜群にいい!40%を超える視聴率も彼の魅力ゆえと言われ、「クォン・サンウのためのドラマ」と呼ばれたほどだった。

同時期に公開された『マルチュク通り残酷史』は、恋もけんかも奥手な初心な高校生が苦い経験を通して成長していく様子を描いた青春物。背中を丸め、いかにもちょっと気弱な高校生になりきっていて、その演技力はやっぱりモムチャンだけではないと思わせるに十分だった。