コラム・取材レポ

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キム・レウォン

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より

97年の高校1年のときにドラマ『僕』でデビュー、映画『男の香り』では、キム・スンウ演じる主人公の少年時代を演じた。

日本では『プライベートレッスン青い体験』で、初体験相手の女子高生に自殺され、セックスに対して精神的にトラウマを抱え、それを晴らすかのように性行動に走る屈折した青年役でお目見えしている。ここで既にかっこいい青年だなあとは思ったものの、内容が内容だけに生々しくて、そんな青さにちょっと抵抗感があった。

他の役で見かけても、何か気にかかる存在だったのだが、いつもどうも暗くて重々しい、粘着質なムードが取り巻いていたのだが、その後ドラマの世界で徐々にその重苦しさがはがれてくると共に人気もブレイクしてきた。

『順風産婦人科』という当時大人気のシチュエーションコメディーへの出演から認知度が上がってきたが、多くの女性の間で「キム・レウォンっていいじゃない」との評価が出てきたのは『いとしのパッチィ』からだろうか。

女性アイドル歌手チャン・ナラを間に挟んで、キム・ジェウォンと三角関係になる役どころ。最初はチャン・ナラの友人のことが好きなのだが、けんかしていくうちにチャン・ナラが気になる存在になり、でもチャン・ナラはキム・ジェウォンといい関係になりつつあって、それを切なく見つめていく。気持ちとは裏腹に強がったことを言ってしまい、陰で切ない思いに駆られる様子は女心にぐっときた。

次に出たのが『雪だるま』だ。義理の兄に思いを寄せる女性に引かれていく金持ちの坊ちゃん役。路線としては切ない系をひた走っている。髪型を黒いストレートに戻して、実年齢よりもかなり上の成熟した男性を演じた。キム・レウォンは表情に虚無感が感じられるので、物質的には恵まれながらもどこかさめた金持ち息子の役というのがとてもハマるのだ。またこの虚無感が女性をひきつけている大きな魅力だと思う。

そんなキム・レウォンの魅力が爆発したのが、『屋根部屋のネコ』だ。一夜の過ちで同棲することになった若い男女の軽快でコミカルなちょっぴり切ないラブコメディーで、キム・レウォンが演じたのは、厚かましくていい加減なところのある司法試験を目指す大学生で、ずうずうしいけれど、チャーミングな笑顔で女に甘えるのが得意なかわいい男性。「なんてやつだ!」と思っても憎めないキャラだ。タイトルどおり、どこか気まぐれなネコのような男性像。今までの重さを脱ぎ捨て、のびのびと弾けたキャラで、しかし適度に顔に虚無感も残しながら、この上も無く魅力的な青年を体現した。

ゆるくパーマがかかった長めの髪をかきあげるしぐさや、片方の口元を上げてにやりと笑う表情、肩から腰にかけての緩やかなラインなど、しなやかさがとてもセクシー。長身の背中を少し丸めて、「かったりーな」などといいそうな気だるさがあり、それが一層セクシー度を上げている。ランニングシャツにジャージにサンダル姿がこんなに似合う男性もそうそういないだろう。

彼はこの母性本能刺激型の愛すべきキャラクターを見事に消化して、20代、30代の女性から圧倒的な支持を受け、キム・レウォンシンドロームが起きた。

映画でも『…ing』で、『屋根部屋のネコ』の延長線上にあるような、ちょっと遊び人風の大学生役で登場し、こういう適度にいい加減ないまどきの男性像がすっかりハマリ役となった。

経歴が長く、落ち着いた雰囲気があるのでもっと年かと思いきや、まだ弱冠23歳の若さである。俳優として大きくなるためにも2004年内に兵役に行くつもりなのだという。