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キム・ソックン

※2000年6月発刊「韓国はドラマチック」(東洋経済新報社)より

太い眉にきりっとした顔立ち。時代劇が似合いそうな武士顔である。その通り、ドラマデビューも98年夏の時代劇『洪吉童』だった。腐敗した権力に対抗して貧しい民衆を助けて理想国家を築いた洪吉童の一代記を描いたドラマで、キム・ソックンはテレビ初登場にしていきなり主役の洪吉童を演じ一躍時の人となった。この急激な人気上昇現象は数年前のチャ・インピョシンドロームの再来といわれたそうだ。

元々キム・ソックンは舞台出身の俳優である。中央大学の演技科を卒業したあと高い競争率を突破して国立劇団に入団した。テレビデビューは劇団を訪ねたSBSのプロデューサーの目に留まったのがきっかけ。舞台俳優ということで演技は初めてではないものの、何せ時代劇。2か月に渡って武術の稽古を受けて撮影に臨んだそうだ。

その後『北京飯店』で映画にも進出し、つぶれそうな中華料理店を立て直そうと奮闘する若き料理長の役で活躍。翌99年には、視聴率50%を超える人気ドラマ『トマト』でキム・ヒソンと共演。時代物の雰囲気とはがらりとイメージの違うかっこいい弁護士役で多くの若い女性たちが胸をときめかす理想の恋人となった。

それにしてもこの『トマト』のさわやかすぎるくらいのキム・ソックンと、チョ・ソンモの「カシナム(いばら)」のミュージックビデオに郵便局員の役で出てくる人物とが同じとはしばらく気づかなかった。それほど印象が違うのだ。髪を伸ばし、やつれた感じの過去を背負った男キム・ソックン。いやあ、いい男だ。影のある役の方が断然光る気がするのは私だけか?この人も香港俳優のイーキン・チェンのように髪を伸ばして幸運を呼び込むタイプかもしれない。

ちなみにキム・ソックンは映画女優カン・スヨンの親戚なのだそうだ。それほど行き来があったわけではないがキム・ソックンが俳優になってからカン・スヨンがいろいろ話をして励ましてくれたそうだ。

次回作は、『シュリ』で日本にも名を馳せたカン・ジュギ監督が製作にあたる映画『燃ゆる月』。彼によく似合う時代劇での勇姿が見られる。