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イム・チャンジョン

※2001年4月発行「韓国エンターテイメント三昧vol.2」(芳賀書店)より

俳優であり、歌手であり、コメディアン的おしゃべりのうまさも兼ね備えている万能エンターティナー。香港では映画スターが当たり前のように演技もし、歌も歌うが、韓国では両方やる人はまだ少ない。ましてやイム・チャンジョンのように両分野で成功をおさめている人といったら、キム・ミンジョンとアン・ジェウクぐらいだろうか。とにかく稀な存在なのだ。そして彼の場合、頭の回転が速く、会話の面白さが抜群で、そのせいでてっきりコメディアンだとばかり思っていたし…(笑)。

始まりは俳優だった。高校時代に演技学校に通っていた時、映画『南部軍』でパルチザンの兵士の一人として初めてカメラの前に立った。それから5年後の95年に歌手デビューしている。俳優としての7年間は端役ばかりだったが、97年に転機が訪れた。青春映画『ビート』でチョン・ウソンの幼なじみ役でいい味を出して大鐘賞の助演男優賞を獲得、またこの年3枚目のアルバムもヒットするなど立て続けに成功してスターとしての地位を固め始めた。98年の映画『エキストラ』から主演に格上げ。売れない俳優が演技実習で検事の振りをしている途中で、社会の不正・不敗に対抗するようになるというヒューマンコメディでは、それまで苦労してきたイム・チャンジョンの実体験が重なるようであった。

『日が西から昇るなら』では熱血で実直な野球審判員役でコ・ソヨンとラブストーリーを演じる。この人の魅力は滲み出る温かさ、素朴さ、誠実さか。どこにでもいそうな普通の青年という感じ。だから役者としてはいつもどこかさえない人を演じることが多いが、歌手として活動するときはとってもファッショナブルである。俳優としての顔しか知らないととてもダンスをするようには見えないが、ダンスだって切れが良く、なかなか見せてくれるのだ。イム・チャンジョンの場合、普通の歌手がアルバム活動が終わって休んでいる間に映画に出演するのでスケジュール的に大変なはずであるが、歌手デビュー以来毎年1枚ずつ着実にアルバムを出して、2000年12月現在で既に7枚目を数えている。これは歌手だけに専念している人達と比べても多い方だ。しかも7枚目では共同プロデューサーまでもつとめたということで、いやはや才能溢れる人である。特筆すべきは特にバラードを歌うとき、体中を使って力入れまくりで歌うことだ。すごい声量で響いてくるのだが、見ているこっちまでも血圧が上がりそうになる(笑)。私は特に6枚目のアルバムのタイトル曲「私の恋人」が大好き。イム・チャンジョンの少ししゃがれた低音の声が心にしみいるラブバラードで、ミュージックビデオでもイ・ナヨンと共に出ているが、何と臓器移植が必要な病気の恋人の命を救うため自らトラックに身を投げるという壮絶な内容だった。ちょっと困ったように、寂しげにそっと微笑む表情に胸きゅんである。

新作は映画『ジャカルタ』。同じ日、同じ時間に銀行強盗を行う3組の泥棒たちが繰り広げるハプニングを描いた作品。アクション、コメディ、ノワールが混ざった感じで、韓国映画には今まで無かったようなジャンルの映画に出演した。