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映画&ドラマで見るドラマチック韓国

⑯美にこだわる韓国人気質

東洋経済新報社「韓国はドラマチック」(2003年7月発行)

一目見ればわかることだが、韓国は美人が多い。そして美を作りこむことに対しての意識も強いと思う。

例えば、グラビア写真をみると、ばっちり濃いお化粧をして、ヘアスタイルも大胆に、つけまつげもつけて、一瞬「誰?」と思うほど大仰に作りこんで撮っている。ポーズも、自然というよりは、アピール度が高い、ちょっと無理な姿勢を演出してみたりする。

どちらかというと素の魅力を生かす、自然派志向の日本のものとは印象が大きく違うのだ。

日韓両国で活動していたTO-YAという歌手の女の子グループのメンバーのひとりは、日韓両国で撮影した宣伝用写真を比較して、「写真は断然韓国のほうが素敵。私ってこんなにきれいだったっけ?って思うほどだもの」といっていた。

だから常々韓国はそうした人工美をよしとする感覚なんだなあと思っていた。それが結局、美しければ整形美でもかまわないというところに行き着いているような気がする。大学合格したお祝いに親が整形手術のお金を出してくれるとか、冬休みが明けたら女子大の5人にひとりは整形手術をしていたとか、いかに多くの女性が整形手術をしているかという話はよく耳にするし、ドラマの中でもその辺の会話はよく出てくる。

『あなたそして私』では、男が恋人を実家の父親に紹介しようと田舎に連れていくと、実家にいるモデル志望の妹が初対面の兄の恋人に向かっていうセリフがそうだった。

妹「目、整形したんですか?」

兄の恋人「いいえ」

妹「きれいだから手術したかと思った」

結構あけっぴろげに聞いている。

ほかのドラマでも、

男「そのバストもしかして整形じゃないよな?」

女「違うわ」

男「違うならいい。偽者は嫌なんだ。偽でもその努力を買う奴もいるけど、俺は嫌いなんだ」

女「私も同感よ。元の自分のままに暮らすのが一番いいもの」

という会話があった。整形手術をしたかどうかを問いただすのはタブーな気がするが、韓国ではそうではないらしい。

そして、芸能人の誰それが整形手術をしたのではないかという噂には敏感だ。ちょっとでも以前と印象が違えばこの手の噂はネットですぐに広まる。

これだけ整形が当たり前になっている国で、ましてや外見が重要な芸能人なんだから整形してたっていいじゃないかと思うのだが、ここが韓国の不思議なところだ。

中には、昔の地味な頃と現在とはずいぶん違うというように、悪質な形で芸能人の昔の写真がネットを通じて広まることもあるそうだ。

こうした風潮の中で、指摘を受けて整形手術をしたことを正直に告白する芸能人も、数は多くないが、いる。2002年の9月には歌手のYTC(ヨントクスクラブ)というグループがカムバックしたが、そのとき、メンバーのひとりの女性が、「新しく変わったYTCのために、見られる外見も重要だと思いました」として、低かった鼻を高くするための手術を受けたことを告白した。あえて整形歴を明らかにしない芸能人が多い中で、勇気ある告白と受けとめられている。

こうした美へのこだわりは、もちろん芸能人ばかりではなく、一般人にも根深いものがある。2001年7月5日号の『週刊朝鮮』では、「韓国は整形共和国」と題して、整形手術に対する過熱現象を取り上げていた。

この中で、ある整形外科医が、「見られることについて関心が高く、誰かがやればすぐその後を追ってしまう韓国人の性格が反映されている」と語っていた。

また同じく2001年2月21日付の『ウォールストリート・ジャーナル』でも、韓国の整形の実態について特集を組んだほどだ。分析としてよく挙げられるのは、男性中心の社会で、外見を磨いてそれに適応しようという女性の被害意識の現れではないかと言うことだ。

韓国では「外見の美しさ=競争力」という考えが多数を占めている。美しさは、結婚はもちろん、仕事上でも有利だという考え方だ。

実際あるアンケートで、大企業から中小、ベンチャー企業までの1106人の人事担当者を対象に外貌が就職面接に及ぼす影響調査を行ったところ、人事担当者の91%が外貌は採用に影響を及ぼすと答えた。そして実際に面接のときに外貌で志願者を差別した経験があると答えたのは50%近かった。

外見を採用基準に考慮する理由は、「外貌が社会生活をするのに競争力を高めることができる手段になるから」が47・3%で最も高かった。

どんなに問題視されようとも、一度美に慣れてしまったらなかなかランクは下げられないだろうから、韓国の美へのこだわりは今後も続いていくのだろう。