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映画&ドラマで見るドラマチック韓国

㉔初雪の降った日には……

東洋経済新報社「韓国はドラマチック」(2003年7月発行)

韓国人のロマンチストぶりを示すもうひとつのエピソードとして初雪がある。

いつの頃からか、韓国では「初雪の降った日に好きな人と一緒いると、その恋はうまくいく」という言い伝えがある。

そのため初雪が降ると恋人とデートの約束のために電話をするので、電話回線がパンクしてしまうこともあるそうだ。気象庁にもいつ初雪が降るのかと言うという問い合わせが殺到するという。

そのくらい初雪というのは韓国の人にとっては特別のものになっている。

『冬のソナタ』で、このエピソードは重要な場面として登場する。

ユジン(チェ・ジウ扮)と転校生のチュンサン(ペ・ヨンジュン扮)はお互いを思い合う仲になったが、まだちょっと照れがある。そこでチュンサンは、「今年は初雪降ったら何するの?」とユジンに聞く。逆に「あなたは何するの?」と聞かれ、チュンサンは「湖で誰かとデートかな」とそれとなくほのめかす。

そして実際に初雪が降ると真っ先に湖に行って待っている。ユジンも妹から雪が降ってきたよと教えられ、顔を輝かせて湖に向かうのだ。

ここはふたりにとって初めて一緒に歩いた思い出の並木道だった。だからこそ互いの思いが同じだということが確認できる場面である。

でもここまで来ても、やはり初雪の日に一緒に過ごすのは特別なことだから突っ張ってしまう。

ユジン「なんでここに来たの?」

チュンサン「待ち合わせがあって。君は?」

ユジン「私も待ち合わせ」

チュンサン「待ち合わせの人まだ来ないの?」

ユジン「もうすぐ来るわよ」

素直に言い出せないところがまた微笑ましい。

結局、「しょうがない、待ち合わせの人の代わりに僕がデートしてやる」とチュンサンがいって、ふたりは、雪を投げあったり、雪だるまを作ったり、それはそれは楽しそうな、きらめくような時間を過ごす。

こんなときを過ごしてしまったら10年経っても忘れられない気持ちは十分理解できるなあと思わせる素敵なシーンだ。

それから10年後、事故で死んでしまったチュンサンの思い出を胸に秘め、インテリアデザイナーとして活躍しているユジンは幼なじみのサンヒョク(パク・ヨンハ扮)と婚約していた。その婚約式の日がちょうど初雪だった。親友から

「いい日を選んだね。今日初雪だってよ」

と声をかけられるユジン。でもその初雪は初恋のチュンサンを思い出させ、街でチュンサンにそっくりの男性を見かけて夢中で後を追ってしまい、婚約式を台無しにしてしまう。

「初雪が私の願いをかなえてくれたのか……」 と戸惑うユジンだった。

また、サンヒョクが担当している、ラジオのクラシック番組のDJが曲の合間のおしゃべりにしていたのが次のセリフ。

「先日ちょっと降ったみぞれを初雪と間違えて、彼とデートを約束していたのに待ちぼうけして喧嘩したカップルも多かったでしょう。でもきのう本物の初雪で仲直りしたことでしょう」

というように、「初雪が降ったらどこそこで待ち合わせしてデートしよう」と約束しているカップルが多いことがわかる。

降ってから電話で約束するより、このほうがロマンチック度は増すが、くれぐれも喧嘩はしないようにしたいものだ。