コラム・取材レポ

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慶尚北道の食の魅力


先月のことになりますが、
新大久保にある韓国料理研究家、趙善玉さんの料理研究院で、
「慶尚北道を愛する親睦会」という集まりがありまして、
お声がけいただき参加してきました。

慶尚北道とは朝鮮半島の東南部。
10の市と13の郡で構成されています。
主な都市で言えば、
慶州(キョンジュ)、安東(アンドン)、浦項(ポハン)、
栄州(ヨンジュ)、蔚珍(ウルチン)などです。
「愛する~」とありますが、実は私は慶州くらいしか行ったことがなく、
よくドラマや映画のロケ地になる安東にもいつか行きたいと思いつつ
まだ行けてないのですけど…。

今回の集まりではまず、
慶尚北道の広報大使でもある
コリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんによる、
両班が継承してきた慶尚北道の食文化に関する講演が行われました。

この中で紹介されたのが、
「飲食知味方(ウンシクティミバン)」という
英陽地域のトゥルドゥル村に伝わる台所仕事の覚え書きです。

以前KNTVで放送された「イ・ヨンエの晩餐」という番組にも
登場していました。
1670年ごろに書かれたと推定される、
ハングル表記としては最古の料理本。
執筆したのは張桂香(チャン・ゲヒャン)さんという両班家の夫人で、
146項目のレシピが載っているそうです。
(そのうちの51項目が酒造りレシピというところも面白いですね)
現代とは調理法が大きく異なる料理や
すでに失われてしまった料理も多いそうですが、
英陽郡の広報大使を務める趙善玉先生は、
その「飲食知味方」の作り方を守っている後継者の方から
正式に教えを受けていらっしゃるとのことで、
今回は実際に「飲食知味方」のレシピの中から
何品かを作り方から再現した料理を
みんなでいただくという趣向の会だったのです。

写真でご紹介します。この日のメニュー。

 

まずは前菜的な
・コンゴキムルキムチ
(きゅうりとキジ肉(鶏肉に代替え)の水キムチ)

・トンアトンチェ(冬瓜の和え物)

 

 

・ソプサンサンポ
(つる人参の天ぷらのはちみつ掛け)
これがすごくおいしかったです!

 

・チャプチェ
当時はチャプチェには春雨は使われていないんです。
エリンギ、ピンクに染めた大根、キキョウ、キュウリ、干しシイタケ、キジ肉(鶏のムネ肉に代替)、それぞれを塩だったり醤油だったりで別々に調理して皿に乗せる。
すごく手が込んでいます。
でもこんなにきれいに盛り付けても結局は混ぜて食べるのですよ。

混ぜると↓

 

・チョンボ・ヘサムチム
(あわび、なまこの中にキジ肉(鶏肉に代替え)を詰めて蒸したもの)

 

・タックンヌンボ
鶏を網焼きにしたもの。右側に盛り付けられているハチの巣が柔らかくて弾力があっておいしかったです。上の白いのはにんにくの薄切りの漬物です。

・コンゴギチャンジ
(きゅうりと鶏肉の和えたもの)

 

・ナンミョン
(煮干しのだしを使ったたまご麵)小麦粉と卵だけで作っている麺です

 

そしてデザートは
五味子茶(片栗粉のそうめん?みたいなのが入ってました)と
もち米を粉にして作ったお菓子でした

 

ちなみに英陽地区は唐辛子の産地なのに、
「飲食知味方」には、
唐辛子が一切使われていないんですよ。
そして調味料もしょうゆ、塩、ごま油、酢、山椒という
極シンプルなものしか使っていません。
全体に優しい味で健康にいい気がします。
気持ちが豊かになるというか。

料理は作るものではなく、素材の味を生かすもの~ということで、
「飲食知味方」の、
繊細に、丁寧に時間をかけて作られる料理の数々を味わってみて、
当時の両班の奥様たちの
「料理は片手間なんかではやらないわよ!」
「我が家の食と健康は私が守るわ!」
というプライドがひしひしと感じられました。
歴史と文化を含めた味で、
まさに慶尚北道の心なわけですね。

英陽郡のトゥルドゥル村では、
「飲食知味方」の
再現料理を味わえるプログラムも実施されているようですが、
10名以上での予約が必要なんだそうで、
ハードル高いです~(^-^;

というわけで、今回、趙善玉先生が作ってくださった
再現料理をいただくことができて、
本当に貴重な体験をさせてもらいました。
先生、ありがとうございました!
ちなみに趙善玉先生の料理研究院は、
今年2月にはカフェとしてもオープンしたので
新大久保に来た際には立ち寄るのもいいですね。
韓国の地方の特産品や食材も販売されていました。

 

以下、趙善玉先生のfacebookからのお店の情報です。
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OPEN 11:00~14:00 月~土(日・祝日休み)
日替わりまかないランチ 1080円
韓国伝統茶(茶菓付)   756円
他、一品料理もご用意できます。
カフェ”param”
東京都新宿区歌舞伎2-42-16第2大滝ビル3F
03-6233-7867
http://www.cho-sunok.net/
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