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ミュージカル女優 キム・ボギョンさん インタビュー

CSHIN’S WAVE

5月に日本で公演が行われる『メイビー、ハッピーエンド』。
SE7EN、ソンジェというアイドルたちを相手に、ヘルパー・ロボットという人間ではないロボットに扮して愛を育んでいくという役どころを演じるのがミュージカル女優のキム・ボギョン。彼女は、『ミス・サイゴン』のキム、『皇太子ルドルフ』のマリー、『ウィキッド』のグリンダ、『レベッカ』の私、という数々の大作ミュージカルでヒロインを演じてきたベテランのミュージカル女優です。
そんな彼女のインタビューをお届けします。

 

――大学の声楽科出身ですが、何がきっかけでミュージカル俳優を目指したんですか?

幼いころから歌うのも踊るのも好きで、大学のどの課に入るのか悩んだとき、ミュージカルが自分にぴったりだなと思って声楽科に進みました。そして2003年の『人魚姫』でデビューしました。

 

――今回『メイビー、ハッピーエンド』ではソンジェさんとSE7ENさんが相手役ですが、ミュージカル専門俳優さん相手との違いはありますか?

あります、彼らは自分がミュージカルにおいては未熟だと思っているところがあって、そのせいか、とにかく純粋なんです。私との共感を図ろうと目を合わせたり、とにかく、どの瞬間も逃さないように集中して私の目を見つめてきます。

下の写真のみ(CSHIN’S WAVE

――これまでも『イン・ザ・ハイツ』などでアイドルの相手役経験はありますが、先輩としてどんなサポートをしてあげるんですか?

稽古の時もそうですが、公演の特、彼らが緊張したり震えたりしたら私が集中できるように引き出してあげられるかなと思います。元々アイドルたちは早く慣れる人たちだから、時間が経てばすごく良くなりますよ。
今回のソンジェさんはミュージカル経験が何度もありますけど、でも私が大先輩だから教えてください~と言ってくるタイプ。SE7ENさんはまだミュージカルが2度目なので緊張していて、すごく頑張って練習していますよ。

 

――会見でソンジェさんがたくさんアドバイスをもらっていると言ってましたが、例えばどんなことを?

ミュージカルでは歌詞の単語が立つように発声しなくてはいけないのですが、彼らはメロディーに集中してそれだけを追っていきがちになるんです。でもそうなると歌詞として耳に入ってこないので、ここの言葉は強く立てて~というような歌う上でのメリハリを教えてあげたりしますね。

 

――もう先生なんですね。

年が上なので、まあ年下の人たちが良く付いてきてくれますね(笑)。

――私が初めてキム・ボギョンさんの舞台を見たのが『皇太子ルドルフ』でした。舞台上で何度も熱烈なキスをして、こんな舞台を毎回やっていたら演じていて恋に落ちちゃいそうだな~と。そこで下世話な質問ですが、ミュージカル女優さんにとってもうキスシーンは日常茶飯事だからあいさつ程度な感じなんですか(笑)?

慣れてますって言ったら変な風に思われるかしら(笑)?
もはや、キスの芝居の時は、私の唇は芝居のための道具にすぎません。そんな感覚です。私は恋の芝居をしてもこれまで一度も相手役に恋に落ちたことがありません。私の趣味の問題かしら(笑)

CSHIN’S WAVE

――ボギョンさんにとってのターニングポイントの3つの舞台は?

まずは『ミス・サイゴン』、2つ目は『皇太子ルドルフ』、3つ目は『ウィキッド』です。
『ミス・サイゴン』は初の主演でしたし、『皇太子ルドルフ』は『ミス・サイゴン』を長く演じてイメージが哀しいヒロインになってしまい、そういう役にしかキャスティングされなくて悩んでいたところ『皇太子ルドルフ』のオファーが入って来て、これも死んでしまう役だけど、ルドルフと一緒に死ぬので寂しくなかったですし、そのおかげで次に『レベッカ』ができたのでイメージを変えることができました。
『ウィキッド』はそれまでの役柄とは正反対のキャラクターだったので、キム・ボギョンがこんな役も出来るんだ~と、演技の幅が広い女優だなとほめられた舞台でしたので。

 

――では、印象に残っている3人の相手役は?

みんな良かったです。3人だけ上げたらほかの方がすねちゃいそうですが…、でも上げるとしたら、マイケル・リー、イ・ゴンミョン、イム・テギョンの3人です。
マイケル・リーさんは私が初主演の時の相手役でしたし、まわりへの配慮がすごく良かったですし、楽に芝居をさせてくれた相手でした。
イ・ゴンミョンさんは私がすごく尊敬する方で、ミュージカルで悩みがあったらいつも相談をする存在です。稽古の時も芝居を見てくれたり意見も聞いてくれたりしながら一緒に作り上げていける人なんです。
イム・テギョンさんはすべての感情の共感が上手にできる方なんです。『皇太子ルドルフ』の時、恋の芝居をすごく良く引き出してくれました。

 

――ダブル、トリプルキャストのことが多いですよね。毎回相手が変わるので演技していて大変じゃないのですか?

稽古のときに既にこの人のバージョン、この人のバージョンというのがあるので、それぞれが180度正反対でない限りは大丈夫です。相手がこういう感情でこういう風にやりたいというのをお互いに認めて芝居をしていきますが、でもやってみて大変だなと思ったら相手に話しをして変えていくこともあります。
私はむしろワンキャストよりもいいですね。
そういえば、韓国のテレビ番組で人工知能がミュージカル俳優に代われるかという話になったんですが、俳優の立場としては絶対にできないという話になりました。俳優たちも毎回感情が違うし、相手役もそれによって違う感情になるし、100回公演をやっても毎回違いますからね。俳優たちもそれを楽しんでいますし、観客もその違いを見るのが妙味ですよね。

CSHIN’S WAVE

――印象に残っているオーディションは?

『ミス・サイゴン』です! 本当にドラマチックな、私が人生の主人公になれたオーディションでした。その時私は『ミス・サイゴン』のオーディションが発表される前に『マンマ・ミーア』を受けていて、アンサンブルとソフィー役のカバーになったのですが、それで『ミス・サイゴン』のオーディションを受けられなくなったんです。でもオーディション中に、韓国にはキムがいない、フィリピンから連れてこなきゃならないかもという話が聞こえてきていて、韓国の俳優としてすごくプライドが傷ついていました。
そんな時、ちょうど私が公演していた『アイーダ』を、運よくミス・サイゴンの演出チームが見に来たのです。私はネヘブカ役(アイーダの侍女)で、セリフもあまりなく、歌も1曲くらいでしたが、そんな私の歌を聞いて「あの人がキムだ! 彼女がオーディションを受けられるようにしたらいい」と言ってくれたらしいんです。それで1年くらいかけてやっていたオーディションで、私は途中の3次か4次くらいから参加して、7次まで受けました。そして発表は6か月後でした。本当に苦しかったです、ずっと待たされて。
6カ月の間に外国の演出家たちは「あの子がキムだ」と話していたそうなのですが、私はそんなこと知らなかったので落ちたかと思っていました。
頑張りはしたけれど、本当にみんながやりたがる役なので、受けられる機会が私に訪れた以上は絶対に手にしたかったので、決まったと聞いた時、最初は実感がなかったです。あまりにも嬉しくて。
でも理性的に稽古をして、それで舞台もいい結果になりました。


――韓国では俳優の持つチケットパワーが重視される現状で、その負担は主に男優たちが背負っていますが、女優としてはこの現状はどのように思っていますか?

一言で言えます。大変だ~。(すごく実感込めて)本当にかわいそうです。
男優たちは、ある人の時は席が埋まってて、ある人は空席が多くてという差がある時が多いんです。正直その俳優が上手くないから空席だというわけじゃないですからね。でもそれを見たらどれだけ委縮してしまうか。その俳優自身も顔には出しませんが、力を落としているなというのが分かります。制作スタッフも共演者もみんな何もなかったように振る舞っていますけどね。
私はそういうのに関わらずに良かったなと思っています。

――最後に『メイビー、ハッピーエンド』へのメッセージをお願いします。

私はこういう3人劇を演じるのは初めてなんです。
初めてこの芝居を見た時、まだオファーを受ける前で、何も考えずに見ましたが、すごくかわいくて温かくて感動したので、ぜひやりたいと思いました。
私が感じたそんな感情を皆さんも感じて帰ってくれたらいいなと思います。

 

小柄ながら迫力のあるパッショナブルな芝居と甘く可愛らしい声で、いつも安定感のある舞台を見せてくれるボギョンさん。『メイビー、ハッピーエンド』が愛らしい物語だけに、ボギョンさんのかわいい声がぴったりはまりそう。SE7EN、ソンジェとのコラボレーションが楽しみです。

 

関連記事:『メイビー、ハッピーエンド』制作発表会見レポート

 

<公演情報>

ミュージカル 『メイビー、ハッピーエンド』
◇公演日時 : 2017年5月19日(金)~5月28日(日)計17公演
※韓国語公演・日本語字幕あり
◇会  場  : サンシャイン劇場 (豊島区東池袋 3-1-4)
◇出  演  : チェ・ドンウク(SE7EN), ソンジェ(超新星), KEVIN(ウ・ソンヒョン)
キム・ボギョン、ソン・サンウン、ラジュン
◇公演最新情報
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◇チケット一般発売日 : 2017年5月1日(月)~