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ソ・ジソブ  律儀で義理がたい人

2009年1月発行「恋する韓流」(朝日新聞出版より) ※記事の転載はご遠慮ください

主演映画『映画は映画だ』(原題、08年)での圧倒的に放たれる男の色香はどうだろう。
静謐にたたずんでいてもにじみ出てきてしまう、むせかえるようなオーラ。
兵役から戻り、演技への渇望感を貪欲に満たさんが如く、溜めてきたエネルギーを放っている感じ。
前から素敵だったけど、着実にいい男になっている。
そんな画面での強烈なインパクトとは裏腹に、‘ソ・ジソブは’律儀で義理のある人’、というのが私の彼への印象だ。
二〇〇七年の四月で二年二カ月の兵役を終え、除隊後すぐ、五月に来日したのだが、その時、短い時間ながら話をする機会があった。
実は入隊前に初の公式来日をしたときにインタビューをしたのだが、そのときに他の取材のアレンジもお手伝いしたことがあった。
それを、スターであるソ・ジソブ本人が覚えていてくれて、「初来日のときにお世話になった方だから、除隊後絶対にご挨拶をしたかった」ということで、「あのときはありがとうございました」とお礼を言ってくれたのだ。
表立って手伝ったわけでもないのに、これにはびっくりした。


『ごめん、愛してる』(04年)が日本で放送された今ではとても人気者なので、自然と取材は殺到する彼だが、それ以前のことを忘れずにいるなんて、となんて律儀で義理がたい人なんだろうと感激した。
「軍隊生活はいかがでしたか」との私の問いに、
「僕はもともと水泳の選手だったから体育会系で、規則正しい団体生活を送っていたから慣れていました」
と語り、無口なことで有名な彼だが、なんとか一生懸命しゃべろうという気持ちが伝わってきた。
「以前お会いしたときよりも元気な感じになりましたね」などとも言われ、「えー!? 私の顔の表情まで覚えていてくれたのかしら?」とうれしくもなった。
そして、横浜での『ごめん、愛してる』イベントでの歌のうまさに驚いた話をすると、「イベントの前日は眠れないほど、ステージに上がる直前は心臓が飛び出しそうなほど緊張するんですよ」
とシャイな顔をのぞかせた。
「次は誰のイベントをやるんですか?」と聞かれ、「まさに明日ヒョンビンさんやイ・ヒョンミン監督の『雪の女王』のイベントをやります」と答えると、「がんばってください!」と日本語で、しかも握りこぶしのジェスチャー付きで励ましてくれた。
そして、最後に大きな体を、私の目線にあわせるように、背中をかがめて握手してくれて、短い時間は終わったのだった。
相変わらず笑顔は優しく、無口ながらも意外に人なつっこい人だった。
社交的なほうではないと前に本人が言っていたので、親しくもない人に会うのは気が疲れることだったと思うが、それでもあえて会って感謝の念を示そうという今どき珍しい誠実な姿勢には、感動を通り越して驚いてしまった。
彼のような人はこれからも更なるいい仕事、いい人との出会いが待っていることだろう。

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