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RAIN(ピ) 常にがんばるプロ

2009年1月発行「恋する韓流」(朝日新聞出版より) ※転載はご遠慮ください

私はRAIN(ピ)というと、何かに向かって必死に歯を食いしばって走っているイメージが思い浮かぶ。
ドラマの『サンドゥ、学校へ行こう!』(03年)や、「悪い男」「太陽を避ける方法」といった楽曲のイメージもあるかもしれない。
一般には『フルハウス』(04年)での彼のキュートさで人気が高いようだが、私は彼が表出するやるせなさ、切実さ、哀しさに惹かれるのである。
苦労が多かったという育ちのせいなのか、その芸名が示すように、太陽の明るさよりも月光の揺らめき、‘陽射し’よりも‘雨’が彼の本質を表しているように思えてしっくりくる。

日本進出直前のRAINにインタビューしたことがある。
ステージで見せるセクシーで爆発的なエネルギーとは裏腹に、目の前に現れた彼は、大きな体なのに、ちょこんとしたたたずまいで椅子に腰掛け、おとなしい少年のような印象の人だった。
疲れもあっただろうが、それよりも、すべてのエネルギーがステージに向かっているので、意図的ではなく、それ以外のときにはむやみに力を入れずに溜めているようにも感じられた。だから、サービス精神たっぷりに答えるという感じではなく、わりと淡々とした感じだった。

それでもプロ根性は人一倍で、座右の銘は「限りなく忍耐、限りなく謙遜、限りなく努力」だという。
「こうしたインタビューにも一生懸命に取り組もうと思っています」
と言うし、どこまでもピシッと隙がないくらいにまじめだった。実際、
「いつもベストを尽くすのが僕の信条なので、その裏には限りない努力が必要で、つらいこともあります」
と言う。気を抜くときがあるのかとたずねても「いいえ」と静かに即答されてしまった。
「疲れたとは思わないです。いつも楽しんでやってますし、やりがいを感じるので、そこからパワーをもらっています」
インタビュー中の頻出単語は「努力」と「ベストを尽くす」。
そして、それが実際、形となってそこに存在している感じなのだ。

まだ若いのに、浮ついたところが微塵もなく、どこまでも誠実なプロだと感じた。とにかく、話を聞いていても、もっと高く、もっと前へ、という感じがひしひしと伝わってきて、そんなに頑張りすぎて倒れてしまわないか心配になったほどだった。

その努力が結実し、アメリカの時事週刊誌TIME誌の「最も影響力のある一〇〇人」に選ばれたことで、‘ワールドスター’の称号がつけられるようになった。
『スピード・レーサー』(08年)『ニンジャ・アサシン』(09年)などのハリウッド映画にも出るようになり、彼の跳躍は留まるところを知らない。

しかし、ドラマ『このろくでなしの愛』(05年)や、二〇〇八年に発表した「Love Story」のミュージックビデオなどでの、笑っているのに心では泣いているような、彼特有のいたいけさと痛々しさがほとばしる演技を見るにつけ、‘切実で哀切’という、私が思うところの彼の一番の魅力は、やはり韓国でこそ出せるんじゃないかなあと思うのである。
彼の望む先が世界であるならばぜひ成功してほしいけれど、彼が持つなんともいえない悲壮感は失わないでほしいと勝手ながらに思うのである。

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