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ヤン・ジュンモのマスタークラス①概要紹介

※文章・写真の転載はご遠慮ください

3月9、10日の二日間にわたって、韓国ミュージカル協会主催で、
マスタークラス、「ヤン・ジュンモのシアターボイスについての特別講義」が行われました。

まず「韓国ミュージカル協会」とは…
俳優、製作者、スタッフ、ジャーナリストなどの学術部門など7つの部門があって、全部で1000人ほどが会員になっている団体です。
ユ・フィソン理事長は俳優出身の演出家。ソウル市ミュージカル団・団長を歴任し、当時日韓共同で『沈黙の声』を制作して日本公演も行ったり、初演の『モーツァルト』も演出しています。最近では『風と共に去りぬ』や、『トゥーランドット』を制作して中国・韓国で上演しました。
このユ・フィソン氏が去年理事長になったのを機に、協会の活性化を図るべく、ミュージカル界の士気を高めるためにと「ミュージカルアワード」を新たに今年から始めたり、協会のメンバーたちに有益な行事を行っていきたいとのことでマスタークラスを企画。ヤン・ジュンモさんを第一回の講師に迎え、今後も第一線の俳優やクリエーターたちに協力してもらって続けていくとのこと。優れた俳優たち、またスタッフたちのノウハウをオープンに共有してもらい、より良い公演につなげて行きたいとの期待が込められた企画です。

 

そして、今回の講師ヤン・ジュンモさんとは…
日本と韓国で『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を務めたほか、『オペラ座の怪人』『ジキル&ハイド』『スウィニー・トッド』などなど、数々の大劇場作品での主役を張っている韓国のトップスターです。
<経歴>
ノボシビリスク特別音楽学校(ロシア)
韓国芸術総合学校音楽院 声楽学科
壇国大学大衆文化芸術学部ミュージカル学科修士
前:青川文化産業大学 専任教授
現:啓明大学 教授

 

韓国のミュージカル協会ですから、今回のマスタークラスも、当然対象は韓国の俳優、及びデビューを目指している練習生なのですが、今回、ヤン・ジュンモさんが講師を引き受けるにあたって、ぜひ日本の俳優さんにも門戸を開きましょうと提案してくれたのだそうです。
「『レ・ミゼラブル』で日本での舞台経験があり、自分が悩んだ日本語での発声についても伝授できる部分があるかもしれない、こういうことを学べれば、少しではあるけれど役に立つのではと思ったので、ぜひ日本の俳優さんにも参加してもらえたらと思って」

と協会に働きかけをしてくれたとのこと。
日韓をまたにかけて活躍する俳優さんだからこその使命感、心意気に感謝ですね。

というわけで、全体で30人余りの受講生のうち、日本から、今度の『レ・ミゼラブル』でアンサンブルを務める染谷洸太さんと、元宝塚雪組男役出身の大凪真生さんが参加しました。


染谷洸太さんは元々サッカー選手出身なのだそう。
「実はミュージカルを始めて5年ほどなのですが、まだまだ発声について学びたいことがたくさんあるので、今回このような機会を嬉しく思います」

大凪真生さんは韓国に留学して2年ほど。この間、韓国語を始め、歌やダンスなどのレッスンを受けて、さらなる技能を習得するべく頑張っているそうです。今後は本名のホン・エミの名前で韓国でのオーディションも積極的に受けていきたいとのこと。
「宝塚の男役として歌ってきたので、すごく低いところから高いところに行く歌い方をしたことが無かったので今はそこに苦労しています。その解決法が見つかればと思いました。また、今韓国語を勉強中なのですが、韓国語で歌うのと日本語で歌う場合の違いを知りたいです」
そして受講生の中には、昨年、日本の『ミス・サイゴン』のキム役での感動の熱演も記憶に新しいキム・スハさんもヤン・ジュンモさんの教え子ということもあり、参加していました。


キム・スハさんはイギリスと日本でデビューしていますけど、意外にもまだ地元の韓国ではデビューしていないんですよね。というわけで、
「韓国ではまだ新人です。ヤン・ジュンモ先生のような良い俳優として記憶に残れるようになりたいです」とあいさつしていました。

午前10時から3時までお昼時間を挟むので、実質4時間を2日間という講義です。
(これは、現役の俳優さんが講義を聞いた後でも夜8時の公演に出演できるようにという配慮からの時間帯でした)
ヤン・ジュンモさんから
「私が現場で習得し、14年間感じてきた自分の経験を後輩たちにお伝えしていきたいと思っています。皆さんの今感じている苦労の助けになればと思います。今回話すことは統計を取ったわけではないですが、俳優として活動してきて得た大切な現場の声、感じてきた内容です」というあいさつで始まりました。

声楽からミュージカルに転身したジュンモさん。はじめはミュージカルの発声について何も学べる場所がなかったそう。
初めのころは大きな声さえ出せば観客に喜んでもらえたのでそうしていって、多くの俳優たちが喉をつぶしてきたのだという。その経験から、どうすれば喉をつぶさずに済むかを考えるようになったそうです。

では、ここからは、2日間で合計8時間の熱い講義内容から内容をピックアップして概論と実践レッスンとに分けてご紹介します。

ヤン・ジュンモのマスタークラス②へ続く

 

2017年3月25日執筆 取材・文:田代親世