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人気俳優、ブレイクのきっかけの「この一本」

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2007年11月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

俳優は役柄によって生きるもの。今回は、そんな、俳優にとってのこの一本にまつわるエピソードを紹介しよう。

現在テレビ東京で放送されているドラマ『マイガール』。これでブレイクしたのが主人公の御曹子を演じたイ・ドンウクだ。彼は99年に短編ドラマでデビューして、『Loving you』のパク・ヨンハの弟役を始め、すでに何本もの作品に出演している。きれいな顔立ちで、かっこいいなとは思うものの、パンチに欠ける印象で、助演の枠を抜け切れなかったのだが、『マイガール』で、嘘つき上手のヒロインと丁々発止やりあいながら恋に落ちるクールな御曹子を演じて、韓国内はもとより、このドラマが放送された香港などの東南アジアでも人気が急増、韓流スターの仲間入りをした。

人気が出たあと、彼はファンの前で次のようなコメントをしゃべっている。「僕は7年間ずっと同じ場所にいました。変わらずここにいたのにやっとたくさんの方が好きになってくれています。これからも変わらずにがんばることが何よりの恩返しだと思います。感謝しています」

緻密に構成されたラブ&ミステリーの復讐物語として大好評のドラマ『復活』でスターとなったのが、オム・テウン。彼は97年に映画『あきれた男たち』でデビューしたが、無名時代が長かった。それでも少しづつ役を大きくしながら、映画『公共の敵2』やドラマ『怪傑春香』で、憎まれ役ながらも知名度を上げた。その下地があって抜擢されたのが『復活』(05年)だった。それまで主役経験が無かっただけに、多くの反対があったという。

「酒席で監督とお会いしたのですが、選んでほしくても自分からその言葉が出ませんでした。優れた大作だったので僕の片思いだと思っていたんです。だからそのときは冗談を言ったり世間話をしたりして。2度目の酒の席で、かなり酒が進んだ時に‘うまくやれるか?’と聞かれたので、‘がけから飛び降りる思いで取り組みます’と答え、その後正式に決まりました。役者なら誰もがやりたがる役で、主人公を演じる俳優は幸せ者だなと思っていたので、まさか自分がという感じでした」

この作品で一人二役で、善人の刑事と復讐を誓う冷徹な男を見事に演じ分け、一気に大注目のスターに急浮上した。

『バリでの出来事』のチョ・インソンが、アイドル的な青春スターから大人の映画俳優として評価された作品が『卑劣な街』。ヤクザに扮し、悪循環にハマっていってしまうやるせない男の心情を丁寧に演じたこの作品で、大韓民国映画大賞で最優秀主演男優賞を獲得した。それまでのチョ・インソンはドラマでは認められていたが、映画の評価は今ひとつ。『ラブストーリー』は名作だったが、彼の役割は助演だった。だから、「今度もダメだったらもう映画はやらせてもらえないと思った。だから命をかけて取り組んだんです」と言っていた。その意気込みが画面からもにじみ出ている。ユ・ハ監督とは相性も良かったようで、次回作も、再びタッグを汲む事が決まっている。

作品や監督との巡り合いは縁や運も大きいが、それを呼び込むのも日頃の誠実な仕事ぶりだと思う。一つ一つが評価されて初めて大きなチャンスが巡ってくるのだ。

延長戦コラム オム・テウンの新たな魅力が発揮されるドラマ『魔王』

オム・テウンが、『復活』の監督と脚本家と再びタッグを組んだ作品が、10月からCSの「アジアドラマチックTV★So-net」で放送開始となる『魔王』。これも再び復讐ミステリーものだが、オム・テウンは『復活』では復讐する立場だったが、『魔王』では、復讐される立場となる。監督いわく、「同じ復讐劇で、同じ俳優を起用するのはある意味イメージが重なってしまう危険もあったが、あえて挑戦した」という。作家も「この役には繊細な演技力が必要だったし、オム・テウンの演技力を全面的に信じていたから、また違った魅力を見せられると思った」と、全幅の信頼を寄せている。オム・テウンも、「監督と脚本家先生は、僕にとって、自分を世に出してくれた、芸能界のお父さんお母さんのような存在。良い作家と信頼できる監督から声をかけられたらどの俳優だってOKしますよ」と相思相愛だ。

『魔王』では、『宮~Love in palace』で人気が出たチュ・ジフンが復讐する側に回り、復讐する側、される側の両者に重点を置いて描かれている。幼き日に犯してしまった罪が引き金となって、12年後、関係者たちが再び同じような事件に巻き込まれていくのだが、単なる謎解きや復讐話に終わらず、罪と罰について深く考えさせる。私も俳優だったらこの作家と監督には一生ついていきたい感じ。最後はもう胸が痛んで涙が止まらない傑作だ。見られる環境の方はぜひお見逃し無く。