コラム・取材レポ

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とっても慎重!? 主演俳優の作品選び

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2007年2月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

2005年の韓国での放送当時、視聴率50%を突破する国民的人気を博し

たドラマ『私の名前はキム・サムスン』で、生意気な財閥2世を演じて一躍若手トップスターに仲間入りをしたヒョンビン。このドラマは今年WOWOWでも放送されたのでご覧になった方も多いのではないだろうか。そのヒョンビンが初めて主演を張った映画『百万長者の初恋』の日本公開が始まった。

日本でもそうかもしれないが、韓国では特に主演作となるとその映画がヒットするもしないも主演俳優の責任のようにいわれてしまう。なのでみんな慎重に慎重を重ねて選ぶものだ。だがヒョンビンいわく、他の作品と比べてこの映画は思い切りよくすぐに選べた作品だったそうだ。それも、メガホンをとったキム・テギュン監督への信頼が大きかったという。

「監督とは4年前に初めてお会いしました。私は当時、演技をする一人の青年に過ぎませんでしたが、監督は私に、これからいい演技者になるためにどうすればいいか、アドバイスをたくさんくれました。なので、いつか必ずこの監督と仕事をしたいと思っていたんです。思っていたよりも早くその機会が訪れて嬉しかったです」。ということで、今回はラブストーリーだが、「例え違うジャンルだったとしても監督との仕事ということで選んだと思う」と語っていた。

もっともキム・テギュン監督は『火山高』や『オオカミの誘惑』で若手スターを魅力的に撮ることで定評のある人だから、安心感もあっただろう。その反対に、シナリオは気に入ったものの、すぐに返事が出来なかったというケースもある。それが『王の男』のカム・ウソンだ。『王の男』は昨年から今年にかけて韓国で公開され、1300万人(約国民の4人に1人)という爆発的な大ヒットを記録した作品だが、キャスティングは難航した。

「時代劇は売れないし、習わなければならないことも多いのでみんなが嫌がる役でした。何人かに打診して断られ、最後に私のところに来たんです。でも仕方なく私に来たというのでは受け入れられなかったので、監督に、なぜ私にやらせたいと思ったのか、納得できるように説明してほしいと言いました」とカム・ウソンは語る。その後監督から彼を口説く長文のメールをもらったそうだ。

「それでもまだ納得はしかねたのですが、それでもメークをしてのカメラテストを受けることにしました。それも自分では気にいらなかったんですが、監督がすごく気に入って、もうぜひやって欲しいというんです。監督にしてみたら選択の余地がない。自分もそれほど偉い俳優というわけでもないし、やはり私はどれだけ経歴があったとしても、やはり必要としてくれる人と仕事をしたい。自分がやらなかったらこの映画自体がなくなってしまうということが私の心を動かしました。実は泣いてしまうくらい台本が気に入ってやりたかったんですけど、プライドがあるので、自分からそんなことは言いませんでした(笑)」

そんな過程を経てようやく撮影の1ヶ月前に主役にキャスティングされ、綱渡りのシーンも実際に名人に習ってかなりの部分を自分で演じているという。 その渾身の演技は韓国のアカデミー賞といわれている大鐘賞で主演男優賞に輝き、映画自体も大ヒットして、報われたのである。

延長戦コラム

意外な受賞に胃けいれんまで!? チョ・インソンが「大韓民国映画大賞」で主演男優賞に

さる11月19日に主要な映画賞のひとつ、大韓民国映画大賞が開かれた。ここで『卑劣な通り』でヤクザを演じたチョ・インソンが主演男優賞を受賞したのだが、その場面がなんとも印象的だった。彼は『バリでの出来事』など、ドラマでは最優秀演技賞を受賞しているが、映画では無冠。今回もノミネートはされていたが、ほかに誰もが認める名優のハン・ソッキュや昨年の賞取り男ファン・ジョンミン、映画界の若手のカリスマ、リュ・スンボムらがいたのでまさか自分がもらえるとは思ってもいなかったのだろう。会場では終始ニコニコ顔で座っていたのだが、いざ主演賞で自分の名前が呼ばれると、あまりにびっくりして信じられないという表情で顔が引きつり、ステージを下りた後もなにがなんだか…という感じで、顔面蒼白で呆然としてしまっていた。その後胃けいれんを起こして病院に運ばれたそうだから、よほど意外で驚いたのだろう。そこまで自分が取るとは思っていなかったんだなあとなんだか微笑ましくなった。『卑劣な通り』での彼はやるせなくて、寂しくて、切なくて、本当によかった。そんな彼に映画界がエールを送ると共に、これからの大きな期待を託したといえるだろう。