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ドラマ『快傑春香』などで注目 苦節9年の若手俳優ジェヒインタビュー

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2006年7月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

デビューしてすぐに脚光を浴びる人もいれば、ブレイクまでに時間がかかる人もいる。今回は、子役時代から活動を始め、ようやく最近になって注目されてきた若手スター、ジェヒを、インタビューを交えてご紹介しよう。

彼が芸能界を目指したのは中学生の時。親の反対を押し切って自ら芸能事務所の門を叩いたそうだ。

「特別なきっかけはなくて、ただ家にいるときに、演技って面白そうだなと思って目指しました。でも演劇学校などにも行きませんでしたし、特にこれを努力したという意識はなくて、とにかくやりたくて続けていたという感じです」

そして高校時代からいくつものエキストラをこなし、96年、オーディションを経てテレビドラマで主役の子供時代を演じてデビューした。『私の心を奪って』や『我が家』などのドラマで、今よりも若い美少年ぶりを見ることが出来るが、このときは、まだ本名のイ・ヒョンギュンで活動していた。高1から始めているのですでにキャリアは長いが、正直あまりパッとした役に恵まれていなかった。それが2004年の映画『うつせみ』に抜擢されて状況が一変することになった。

「短編の特番を撮っているときに直接キム・ギドク監督が現れて、インターネットで僕のことを見たらしく、1本映画を作るんだけど、一緒にやらないかといわれて、即答しました。僕の目がいいと思われたようです。大学時代に特別講義をしに監督が来られて、そのときに、講義の仕方も話し方も他の人と違うし、すごく誠実で、裏表が無い人だと思って好感を持っていたんです」

‘目’で選ばれただけあって、この作品では一言もしゃべらずに、鋭い魅惑的な目つきだけで観客を魅了する演技を披露し、青龍映画賞の新人男優賞を受賞するなど大きな注目を浴びた。また作品自体もベネチア映画祭で監督賞を受賞し、高い評価を受けることになった。

「監督のおかげで演技をしながらいろいろ学びました。演技もすごく上手になったと思います。うまく説明できないのですが、簡単に考えていたことを深く考えるようにもなりましたし、自分の考え方自体がたくさん変わったと思います。自分にとって大きな転機でした」

演技と存在が注目を浴びたあとの2005年には、ドラマ『快傑春香』で痛快な主人公を演じ、視聴率30%を突破して大衆的な人気も獲得するようになった。傍目からはこれまで苦労しただろうなと思えるが、本人はそう感じていないのが面白い。

「楽しそうだから始めたし、やっていても楽しいから続いています。楽しくなければやりませんしね。長くやっているので大変なこともありましたが、それをいちいち大変だと思っていたらこの仕事は出来ません」

今までに多くのオーディションを受けてきたが、彼の考え方は自然体だ。

「オーディションや仕事のために特にアピールすることは一切なかったです。自分自身を見せるだけですし、自分のいいところを見せ付けて役を取るということに関心を持っていないんです」

自分をいかによく見せるかにこだわる芸能人が多い中で、こうしたジェヒの姿勢は独特かもしれない。そんな彼がデビューを目指す読者のためにこれだけは必ず言いたいとメッセージをくれた。

「僕は名前が知られるようになったのはここ2年です。その前の9年は無名時代が続きました。でも僕は、今は稼ぎにならなくても、好きだからやるんだと思ってやってきました。俳優は大変なことやつらいことがすごくたくさんあります。一緒に始めた仲間でもすでにやめている人も多いです。でもつらいからといって途中でやめるくらいなら最初からやらないほうがいいと思います。耐えて、努力していればチャンスはいつか必ず訪れます。それが大切です」

延長戦コラム

朝鮮時代の古典を現代風にアレンジしたラブコメディー『快傑春香』

ジェヒがブレイクしたドラマ『快傑春香』は韓国では誰もが知っている朝鮮時代の古典『春香伝』を現代にアレンジしたラブコメディーだ。『春香伝』を簡単に紹介すると、春香という名の絶世の美女が地方長官の若様と愛し合うが、若様は都へ戻ることになる。そして科挙という、役人になるための試験に合格して必ず迎えに来るという言葉を信じて待つのだが、若様のいない間に、新しく赴任した長官が春香の美しさに目を留め、自分のものになれと迫るのだが、春香はたとえ殺されても若様以外の男を受け入れるわけにはいかないと拒み続ける。そして、いよいよ春香が処刑されるというそのときに、偉い役人になった若様が戻ってきて長官の悪事を暴き、春香を助けるという、いってみれば権力に屈することなく、命をかけて愛を貫いた烈女の物語だ。これまでに何度も映画化、ドラマ化されてきており、日本でもチョ・スンウというこれまた演技派スターのデビュー作のバージョンをDVDで見ることができる。この物語の基本を知っていると『快傑春香』が一層面白く感じられるのだ。