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イ・ビョンホン、イ・ジョンジェに見る韓国スターの演技に対する心構え

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2005年1月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

今回は韓流4天皇の一人イ・ビョンホンと、4天皇に負けず劣らず韓国で大人気のスター、イ・ジョンジェについて、彼らの俳優としての姿勢や考え方などを紹介してみようと思う。

11月27日から『誰にでも秘密がある』が公開されているイ・ビョンホンは、かつて役へのアプローチの仕方を以下のように答えていた。

「私は必ず人物だけを見るのではなくて、その人の周りの環境、バックグラウンド、それによって生まれた性格を考えながら演技をするようにしています。例えば、とてもお酒が好きな人がいて、お酒を飲むたびに相手をののしる人がいるとしますね。普通だったらあの人は変な人だと一言で片付けられてしまうかもしれませんが、でもその人にはそうせざるを得ないほどのバックグラウンドがあると思うんです。だからそういう行動になるんだと自分自身が理解すれば役に入りやすいんです。ですから多少時間がかかるかもしれませんが、自分が理解できるようにいつもそういう周辺の環境を考えるようにしています」

『純愛中毒』のパク・ヨンフン監督も、『バンジージャンプする』のキム・デスン監督も、イ・ビョンホンはいつも台本がボロボロになるくらい読み込んで、いろいろと演技のアイデアを出してくるアクティブな俳優だと言っていた。

「シナリオを最初から最後まで読み込んで十分に理解すること、そして前後の関係性を読み取ることは非常に大事なことです。シナリオを理解したうえで、基本的に俳優と監督が合意しなければ演技を思いっきりすることは出来ないと思いますので、いつもよく読むようにしています。これは私の普段の性格とは違い、仕事のときは非常にナーバスになって細かい性格になるんです。それでなるべく完璧であろうとするんです」

日本でもハンサムスターとして人気を得ているが、「いつもハンサム、いつもかっこいいと思われたいだけなら、CMモデルやファッションモデルになればいいのであって、ルックスなどは気にせずに常に努力している姿を魅力的に思って欲しいというのが本当の俳優だと思います。外見よりも内面的な努力が重要だと思っています」と地に足の着いた答えが返ってきた。

一方、『ラスト・プレゼント』『イルマーレ』など日本でも主演作が多く紹介されているイ・ジョンジェは、11月に公開された『オーバー・ザ・レインボー』では、記憶を失いながらも愛する人の面影を探し出そうとする気象予報士の男性を演じている。

「少し穏やかで感情の起伏があまりないキャラクターだったんですが、そういう役を表現するにはどうすればいいのかということを考えさせてくれた作品でした」と語っている。

東国大学の演劇映画科をこの春卒業し、現在は大学院に通って、そこでも演技を学んでいる。「勉強しないと自分がどこが足りないのかわからなくなってしまうからです。私のようにいろんな演技をした人間にとっては特別こうだということはないですが、どうしたらそのキャラクターに近づけて、実際の人物として演じられるのか、本当に言葉にあらわせられないような小さいことなんですが、そのために学び続けるということです」とのことだった。

二人とも20代の頃から活躍している青春スターだったが、30代に入り、更に魅力を増している。それも常日頃からの心構えの賜物か。決して外見的な魅力だけでキャーキャー騒がれているわけではないことがお分かりいただけるだろう。

延長戦コラム

私は普段、韓国スターがいかに素晴しい言動をするかを紹介しているが、近頃は日本の俳優さんの言動にも、日本人として嬉しく思える場面に何度も出会った。例えば、10月に行われた第9回釜山映画祭でのこと。『笑いの大学』を出品していた稲垣吾郎が舞台挨拶をしたのだが、熱心な韓国の観客を前にして、時折韓国語を交えて場を沸かせながら、「僕は韓国の映画や文化にとても興味があります。皆さんも今日のような映画を通じて、日本の芸能・文化をもっとわかってもらいたいと思います。僕もいい作品でお目にかかれるように頑張ります」というようなことを心のこもった口調で言い、満場の拍手を浴びた。『力道山』で韓国のソル・ギョングと共演した中谷美紀も制作記者会見に出席し、「ソル・ギョングさんが身も心もボロボロになって演じているのを見て、妻役として支えてあげたいと思いましたし、こんなにも人のために生きたいと思った映画は初めてでした」と語り、記者たちから好感を得ていた。俳優同士刺激しあっていい効果が現れているなあと思わせられたのであった。