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韓国ドラマのトレンドは…

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2003年5月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

韓国はドラマ王国だ。地上波キー局が3局あるが、それぞれ10本ぐらいづつドラマを制作していて週に30本ほどが放送されている。視聴率も多いときには50%、60%を超えるなど、ドラマ好きが多い国なのだ。

そんな韓国で、どんなドラマが人気があるのかと言えば、韓国社会に根付いている家族を題材にしたファミリードラマに軍配が上がる。だいたい、育った境遇の違う男女が結婚し、そのメインの二人を軸にして、それぞれの家族の両親、兄弟姉妹を巻き込んで、日常のさまざまな問題が、時にはコメディータッチに、時にはシリアスに描かれる。大家族のなかで、親の世代、若者の世代といったそれぞれの意識の違いや、恋愛問題、嫁姑問題、出産問題など、次から次へと事件が起こり、そのつど見る側も、ドラマの中の誰かの立場には共感できるようになっていて、どの世代からも支持を受けるように作るのがパターンとなっている。日本で言うと『渡る世間は鬼ばかり』のようなドラマである。最近はすっかり核家族のドラマが多くなってしまった日本でも、以前は確かに存在していた大家族の姿がまだ韓国にはあって、懐かしさを覚える。

次に多いのが、シンデレラストーリーを基調にした物語。主人公はたいてい、孤児や、貧しい生まれの女の子で、健気ながんばりやだ。それが意地悪なキャラクターに邪魔されながらも、地位も金もある素敵な男性から愛されて、仕事と恋の両方において成功を手にする話だ。テレビ朝日系で放送された『イヴのすべて』や、現在BS日テレで放送されている『星に願いを』は、この代表的なドラマである。

そしてロマンチストの多い韓国ではやはり、真剣で深い‘愛’のドラマが人気が高い。出生の秘密や、年齢差のある男女、または不倫関係などといったドラマチックな設定の下で、狂おしいまでの愛のドラマが展開される。必須なのは三角関係で、思い合う二人の男女と、それを切なく見つめる一人の男という構図は欠かせないものになっている。愛について語り合う場面や、相手に投げかける甘いセリフの数々は、慣れていない日本人にとっては見ていて気恥ずかしくなる部分もあるかもしれない。NHKのBSで4月から放送が始まる『冬のソナタ』は、高校時代の悲しい初恋の思い出をいつまでも胸に抱いている女性が、10年後、初恋の人にそっくりな男性に出会い、婚約者がいながらも心を揺さぶられるというメロドラマだ。去年の上半期、韓国で社会現象を巻き起こしたドラマで、視聴者はひと時の切ない愛に夢中になった。

日本のドラマは切り口や設定に新しい試みが見られる反面、ストレートなラブストーリーが少なく、自分探しがメインで、友達以上恋人未満的なぬるい男女関係のドラマが多い。ひねりすぎというか、洗練されすぎてしまった感じというか、内容的にも演技的にも、作りこむというよりは、俳優の持ち味をそのまま生かすような自然な感じが主流だ。

その点韓国では、男女関係だけでなく、善悪もはっきりした関係が描かれる。それだけにわかりやすいつくりであるが、奇をてらわず、‘愛’、‘情’といったものを繰り返し描き、その濃さで勝負しているところがある。ドラマの王道を堂々と行っている感じだ。だから、「またこの設定か」と思いながらもついつい引き込まれてしまうのだ。出演する俳優も、作品によって、役によって全く違った印象になるので飽きないというのも大きなポイントかもしれない。

延長線コラム

映画『猟奇的な彼女』で大人気のチョン・ジヒョンとチャ・テヒョンが共演したドラマがある。1999年の『ハッピートゥゲザー』というドラマで、父親と母親が再婚して兄弟姉妹になった5人が、父母の交通事故を機にばらばらになり、数年後に再会するというストーリー。日本の『一つ屋根の下』のような感じだ。人情派の長男と冷徹な検事の次男は同じ女性が好きで三角関係。長女は母が亡くなったのは再婚した父のせいだと思い込んで、その子供である長男を快く思っていない。次女はトラブルメーカー。そしてチョン・ジヒョン演じる末の妹は再婚した父と母との間に生まれた娘で、長男を慕っている。末の妹はアルバイトをしながらミュージシャンを目指しているが、腎臓が弱く、それが後に家族を結び付ける大きな役割を果たすことになる。韓国ではミニシリーズと呼ばれる全16話のドラマだったが、ここでも家族間の葛藤、兄弟愛、切ない愛がきちんと入れられていた。チャ・テヒョンは、チョン・ジヒョンに一目ぼれして何かと付きまとう純情なチンピラ役で、映画同様、このときもカップルになる設定だった。まだ新人のチョン・ジヒョンと助演扱いだったチャ・テヒョンの貴重な共演ドラマだ。