コラム・取材レポ

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売上チャート上位に食い込むOST

※2003年7月発刊「韓国はドラマチック」(東洋経済新報社)より

韓国のオリジナルサウンドトラックアルバム(通称OST)は、ここ数年、音盤市場でもチャートの上位に食い込む人気商品になっている。

『冬のソナタ』のOSTは40万枚が販売され、20億ウォンの売上げがあったという。不況下の音盤市場においては記録的なヒットを飛ばした。

小泉総理が2002年の3月に韓国を公式訪問したときに、「今一番売れているCDを何枚か購入した」と答えているインタビューで、手に持っていた数枚の中に、『冬のソナタ』のCDがしっかりとあった。

このOSTの中で特に”リュ“という新人歌手が歌うメインタイトル曲『始めから終わりまで』は、切ないドラマの内容にぴったりとマッチしている。このメロディーが流れてくるだけで甘く切ない気持ちがこみ上げてきて胸がかきむしられる。韓国得意の、力技で泣かせる極意が曲にも生かされているようだ。

 

話題になったドラマほど人気が出る

韓国のOSTは、日本と同様、印象に残る名曲が多い。ただ、日本のように人気絶頂の歌手の曲を使うというよりは、新人歌手や実力派の中堅歌手が主に起用される傾向にある。

『イヴのすべて』では、最高人気を誇る女性アイドルグループFIN・K・Lが主題歌を歌っていたが、これはむしろ珍しいケースだ。

ドラマのメインテーマ曲は、日本のように、もともと世に出す予定の曲をタイアップしてドラマの主題歌に使用するというよりは、純粋にドラマの曲として準備されているケースがほとんどなため、OSTも、誰が歌っているかはあまり問題ではなく、話題になったドラマほど人気が出るという法則になっている。

だから、新人歌手の起用が目立つのだろう。例えば、『秋の童話』ではチョン・イリョン、『ホテリアー』ではカン・チョル、『危機の男』でキム・ドンウック、『冬のソナタ』でリュといった新人歌手たちがそれぞれタイトル曲を歌って注目を集めた。

 

映画並の高水準OSTも登場

アジア各国での韓流に乗って韓国ドラマの輸出が増える中、OSTも海外に売れることに気がついたプロダクションは、自分のところの所属スターが出演するドラマのOST制作権を得て、凝ったOSTを制作するケースも出てきている。

例えば、その代表例が2001年末に発売された『明成皇后』のOSTだ。ドラマ自体は、日本では”閔妃“として知られる歴史上実在の人物明成皇后(1851~95年)の生涯を描いた歴史大河ドラマ。

ヒロイン明成皇后を演じるのはイ・ミヨンだが、『明成皇后』OSTは、そのイ・ミヨンの所属事務所GM企画のキム・クァンス氏が直接陣頭指揮に当たって制作した。

メインタイトル曲に、韓国が誇るソプラノ歌手のジョ・スミ(=スミ・ジョー)を招いて、明成皇后の劇的で悲壮な生き様を哀切に歌い上げているのをはじめ、イ・スヨン、キム・ギョンホ、チョ・ソンモ、ヤンパ、チョ・グァヌ、キム・ボムスなど、歌唱力自慢の歌手たちが大挙参加した。

歌が入ったボーカル編と、オーケストラの演奏曲編の2枚組みCDという豪華版。歌手の布陣もすごいが、注目を浴びた大きな理由はミュージックビデオだった。

一般的にドラマのOSTのミュージックビデオは、ドラマの内容を再編集してつないだものを流すが、『明成皇后』では、OST版制作のためにわざわざシナリオを作り、内容を撮り直した。ドラマではまだそこまで物語が進んでいなかったにもかかわらず、明成皇后と、皇后を陰ながら慕う護衛隊長の秘めた愛に加え、日本の軍部に殺害される場面を中心にドラマ構成して描いたのだ。

メインタイトル曲『私行くわ』が約10分、2番目の曲『悲しい話』も7分と言う長さだが、演技者たちの力の入った演技と、劇的な歴史のうねりが描きこまれていて、まるで映画のように引き込まれる水準の高い内容になっている。

製作過程も異例で、制作費10億ウォンのうち、6億ウォン分をインターネット公募で投資を募り制作された。ちなみにキム・クァンス氏は、いまや国民歌手となっているチョ・ソンモのミュージックビデオを制作し、歌謡界に話題を巻き起こしてきた。

抜群の企画力の持ち主と歌われている人物だけに、『明成皇后』OSTはここ数年で最も注目を集め、質的にも評価された。