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韓国俳優、スターへの道

※2003年7月発刊「韓国はドラマチック」(東洋経済新報社)より

韓国のスターたちは、みんなどのような経路をたどってスターになっているのだろうか。

まず韓国の特徴として挙げられるのは、現在活躍しているスターたちのほとんどが大学の演劇映画科の出身者だということだ。

韓国には40ほどの大学に演劇映画科が存在している。それほど教育機関としての演技の養成所が多い。

そして、そこから韓国の3大テレビ局、KBS、MBC、SBSがそれぞれに行うタレント試験に合格して、そこで3ヶ月ほどのタレント研修を経て、デビューするというコースが王道だった。

この場合は、数年間はその採用された局専属でドラマなどに出演し、その後フリーで活躍できることになっていた。

★代表例
ハン・ソッキュ
東国大学演劇映画科→KBS(声優採用)  →MBC(タレント採用)

イ・ソンジェ
東国大学演劇映画科→MBC

チャ・テヒョン
ソウル芸術専門大学→KBS

アン・ジェウク
ソウル芸術専門大学→MBC

ユン・ソナ
百済芸術大学→KBS

コ・ソヨン
中央大学演劇映画科→KBS

チョン・ドヨン
ソウル芸術専門大学→KBS

また、大学出身でも演劇映画科出身でない人が、テレビ局に採用されてというのももちろんある。

★代表例
イ・ビョンホン
漢陽大学フランス文学科→KBS

リュ・シウォン
シング専門大学産業デザイン科→KBS

シム・ウナ
青洲大学韓国舞踊科→MBC

チェ・ジウ
釜山女子専門大学→MBC

ソン・ユナ
漢陽大学文化人類学科→KBS

このように、大半が、大学から、まずはテレビ局のタレント試験に合格してスターになってきた。そして、テレビドラマで人気を得て映画に進出していくというのが、一般的にいわれる”成功’のパターン“である。

ほかには、演劇畑から映像の世界に移ってきてブレイクするスターも見られる。特に、今の韓国映画界を席巻しているスターは、この経歴を持つ人が目立つ。

★代表例
チェ・ミンシク
東国大学演劇映画科→劇団→テレビへ
→映画『九老アリラン』

ソン・ガンホ
慶尚専門大学放送芸能科→劇団
→映画『豚が井戸に落ちた日』

ソル・ギョング
漢陽大学演劇映画科→劇団→テレビへ
→映画『つぼみ』

ユ・オソン
漢陽大学演劇映画科→舞台
→映画『私は望む、私に禁じられたことを』

これらの人々は個性派が多いので、テレビや映画の助演から始まって、存在感、演技力が目を引き、徐々に主役を張れるようになってくるというケースが多い。

このように、最初からプロダクションが育てて各所に売り込むというよりは、それぞれの場所で演技を勉強して、映画やドラマ、モデルのオーディションを経て、デビューして活動していくという韓国の芸能事情が垣間見える。

つい数年前まで韓国に組織立った芸能プロダクションというものが存在せず、身内でマネージメントを行っているような状態だったのもこうした背景があったからだろう。

しかし、それもここ数年で様変わりしてきている。これまでは小規模の個人経営的なプロダクションがほとんどだったため、タレントたちの権限が弱く、テレビ局、映画会社などのいうがままだったが、それではいけないと、いくつものプロダクションが合体して大きな組織に再編されるようになった。

こうした大手プロダクションは、タレントのマネージメントにとどまらず、映画やテレビ番組の制作などにもかかわり、総合エンターテイメント会社として、芸能界で大きな存在として君臨するようになったのである。そのおかげで、所属俳優たちも契約時などに発言権が持てるようになった。

また、こうした大手プロダクションがスカウトをし、最初から仕掛けてデビューさせるなど、デビューの仕方も幅広くなってきた。

その一方で、テレビ局のタレント採用試験は実効性が薄れてきたということで、2000年を最後に行われなくなっている。

今、新世代スターと呼ばれている若手スターたちは、このプロダクション主導型が多い。

大きな総合エンターテイメント会社の中でも最大規模で、2000年の春に立ち上がったSIDUS(サイダス)を例にとってみよう。

ここのマネージャー、イム・サンジュン氏に話を聞くと、女性タレントの場合、オーディションよりも、雑誌に出ているモデルたちからスカウトするのが主流だそうだ。逆に男性は、人の紹介で入ってくる人が多いのだとか。

そうして見つけてきた子には特別管理の下、演技やダンスのレッスンを受けさせ、しばらくしてからCMやミュージックビデオに出す。

そして、「とりあえず隠せ」を合言葉に、あまり露出させないのだそうだ。ファンの渇望感を掻き立て、見たければお金を払って見てほしいということで、映画に重点を置いて出演させる。

これで映画が成功しようものならそのタレントの価値がぐっと高まる。マネージャーのイム氏いわく、こうした戦略でデビューし、大成功を収めた最初の‘作品’が、『猟奇的な彼女』のヒロイン、チョン・ジヒョンであり、それに続くのが『火山高』のシン・ミナなのだそうだ。

ちなみに所属俳優たちにはいつも、「スターじゃなく、俳優でいなさい。とりあえず一生懸命にしなさい」「本をよく読むことが薬よりももっといい」と言って聞かせているのだとか。

★代表例
チョン・ジヒョン
ファッション誌のモデル→SIDUS
→CM→テレビドラマ
→映画『ホワイトバレンタイン』

シン・ミナ
雑誌モデル→SIDUS
→ミュージックビデオ
→『火山校』、テレビドラマ