コラム・取材レポ・ブログ

コラム・取材レポ一覧に戻る

チャ・テヒョン

2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より

『猟奇的な彼女』で暴力的な‘彼女’に振り回されながらも優しく包み込もうと頑張る姿でおなじみのチャ・テヒョン。情けなくて、ちょっと小ずるくて、でも優しいという今どきの青年を好演し、日本の観客にも深く印象付けた。何よりもその親しみやすさが大きな魅力だ。

95年にKBSスーパータレントの銀賞を受賞し芸能界入りした。しかしそれから約4年間は無名時代が続いた。忙しくなるだろうと学校も休学して待機していたのに回ってきたのはちょい役ばかりだった。『若者のひなた』『パパ』『初恋』など、ペ・ヨンジュンが出演し人気者になっていった作品で、この無名時代のチャ・テヒョンの姿を見ることが出来る。正直、あまり印象には残らないようなチョイ役ばかりだった。しかしいくら小さな役でもそのつど最善を尽くし、その成果が現れてキャンパスドラマ『レディーゴー』で初めて長い時間テレビに顔が出て、同時に演技開眼もしたという。

そんなチャ・テヒョンがブレイクするきっかけになったのは、99年のドラマ『ひまわり』だった。大病院の医者たちが主人公の物語で、チャ・テヒョンは、手術中にうとうとしてしまったり、患者を間違えたりと、ミスをしでかしてはいつも先輩医師に叱られるトラブルメーカーの研修医の役だった。よく考えればとんでもない研修医なのだが、チャ・テヒョンが演じるとどこかコミカルで、憎めないのだ。これで注目を集めた後は、『ひまわり』でカップルを演じたキム・ジョンウンと一緒に初めて携帯電話のCMに出演。『ひまわり』と同様二人のコミカル演技が話題を呼び、人気が爆発した。

その後も『Happy together』で、チョン・ジヒョンを慕う純情なチンピラ役で、笑わせてほろっとさせるおいしい役どころを好演した。これらのドラマの成功で、チャ・テヒョンは、主役よりも愛される助演者となった。FMのDJ等もこなし、99年はその人気に加速をつけてついに『日射しの中へ』で主演をゲット。キム・ハヌル、キム・ヒュンジュ、チャン・ヒョクといった新世代スター揃い踏みの中で、彼は、母を捨てた父に反発している金持ちの息子という、かつて『星に願いを』でアン・ジェウクが演じたような影のある役どころに挑戦した。視聴率も好調で、コミカル演技でスターダムに昇ってきたチャ・テヒョンが、孤独で寂しがりやという180度違う新たな面を見せ、新世代スターのトップに躍り出た。

チャ・テヒョンの魅力が全開となっているのは『ジュリエットの男』だと思う。大物相場師の孫で、デパートオーナーの父親の自殺で窮地に立たされた跡継ぎの娘を、文句をいいながらも何くれとなく助けてやる男の役だ。

ふてぶてしくて男っぽくて、はったりが利いて、好きな女性の前では心にもないことを言いながらも、深く愛していくという演技がとってもはまっていた。チャ・テヒョンならではのテンションの高いハチャメチャな勢いのある演技が物語り全体を引っ張っていく。ここでのチャ・テヒョンはかっこいい兄貴という感じで、いま映画で見せている、情けないが優しいキャラよりも男としては魅力的だったかも。とにかくこのキャラクターが大人気で、チャ・テヒョン人気は更に強固なものになった。

ここでかねてからの念願だった歌を出すことになり、デビュー曲「I LOVE YOU」もヒットチャートの上位に食い込む健闘を見せ、俳優に歌手にと絶頂期に突入する。

その直後に出演したのが『猟奇的な彼女』だった。クァク・ジェヨン監督からもキャラクター把握能力に長けていると演技を絶賛され、若き演技派として興行俳優としても認められた。おしゃべりが面白いエンターティナーとしても人気者である。