映画解説

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タイトル 二つの顔の猟奇的な彼女
韓国公開年 2007年
出演者 ポン・テギュ チョン・リョウォン イ・ヘウン
監督 イ・ソックン

【 映画紹介 】

『二つの顔の猟奇的な彼女』は、多重人格の女性と彼女に振り回される青年が繰り広げるコミカルラブストーリーです。

男としての甲斐性もない、フリーターのもてない男クチャン(ポン・テギュ)。20代後半になってもキスはもちろん、ろくな恋愛経験すらありません。そんな彼の前にある日とんでもなくかわいい女の子(チョン・リョウォン)が現れます。彼女はやたらと彼のことを慕ってくるのですが、その言動はなんだか妙で、そのうち、おとなしくかわいらしい彼女とはまったく違った、乱暴で豪快なもう一人の彼女の人格が顔を出すのでした。

小心者の青年と多重人格の彼女が織り成すロマンチックラブコメディー。かわいい顔なのに突如乱暴になる彼女と、そんな彼女に振り回されていく青年という構図や、途中から意外な展開になっていくところなどは、邦題にも詰められたように『猟奇的な彼女』を彷彿させます。

芸達者なポン・テギュが、コミカルながらも、献身的に女性を気遣う姿を見せて、切ない恋愛演技も見せています。そしてこれが映画デビューとなるチョン・リョウォンが、いくつもの顔を魅力的に見せ、青龍映画賞で新人女優賞を受賞しました。

その後『パイレーツ』(14)や『ヒマラヤ地上8000メートルの絆』(15)など、大型作品でヒットを飛ばすことになるイ・ソックン監督の作品です。

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いつも調子のいいユーモラスな役どころが多いポン・テギュにとって、ラブストーリーで純情派を演じるのは初挑戦。それだけに、何が何でもきれいな女優と一緒でなければ映画がダメになるとして、積極的にチョン・リョウォンを推薦したそうです。
でもすでにチョン・リョウォンは、初めての映画なのに二種類のキャラクターをひとつの作品で見せなければならないというプレッシャーが大きくてこの役を断っていた状態。それでも、どうしても彼女とやりたいと思ったポン・テギュが「自分を信じてほしい」と自ら電話で彼女を口説いてキャスティングに成功したのだそうです。