映画解説

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タイトル 私たちの幸せな時間
韓国公開年 2006年
出演者 カン・ドンウォン イ・ナヨン ユン・ヨジョン カン・シニル
監督 ソン・ヘソン

【 映画紹介 】

『私たちの幸せな時間』は、死刑囚の男と自殺願望を抱えている女性との、奇跡のような出会いを描いた作品です。

3人を殺した罪で死刑を宣告された死刑囚の青年(カン・ドンウォン)と、3度の自殺を試みた女性(イ・ナヨン)。

男は幼いときから社会の底辺に育ち、悪に手を染めずには生きてこられなかった不遇の生い立ちで、女は、裕福な、一見恵まれた環境にいながら、それでもぬぐいようのない絶望感を胸に抱いています。そんな人生に絶望している2人が、修道女をしている、女の叔母(ユン・ヨジョン)の勧めで面会をするようになります。刑務所の面会室で過ごす週に一度の3時間という時間を経るうちに、互いの閉ざされた心が癒されていき、彼らにとってかけがえのない時間になっていくのでした。

原作は、韓国でナンバーワン女性作家との呼び声高いコン・ジヨン作家の同名のベストセラー小説です。『パイラン』『力道山』のソン・ヘソン監督は偶然この小説を読み、‘神がくれた贈り物’だと思ったほど、心惹かれたそうです。

主演は、監督いわく、「不思議な哀愁がある」というカン・ドンウォンとイ・ナヨン。この重苦しい難役には似つかわしくないほどの美貌を持った2人ですが、撮影前には監督と3人でホテルに数日こもってシナリオ分析作業をしたり、それぞれ、これまでにないほどの徹底的な役作りで挑み、見事な演技を見せています。

思わず涙があふれ出てしまう感動作となったこの作品は、韓国で観客300万人を動員し、当時の、ラブストーリージャンルの興行記録を更新して、主演の2人は大韓民国映画大賞のネチズン観客賞を揃って受賞しました。

 

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ベストセラー作家と実力派監督という、力量を保障された2人がタッグを組む作品だけに、役を望んだ俳優たちは多かったそうですが、花のように美しい美男子カン・ドンウォンと、CM界の妖精ともいわれ、清潔な美しさが際立つイ・ナヨンという若手スターたちがキャスティングされ、当初は、‘ミスキャストじゃないか’、‘彼らにこなせるのか’といった不安の声も上がったそうです。ですが、蓋を開けてみれば、この映画で見せた演技はカン・ドンウォンとイ・ナヨンにとって‘再発見’と呼ばれるにふさわしいもので、演技派の俳優としての評価を得るに至りました。監督は、美しすぎるゆえに演技への評価がされにくい2人の潜在性を呼び覚ますことができたことが、この映画がもたらした最大の喜びのひとつと語っています。